=増補版=
1月22日
森 崇
緊急利下げでも、リセッション回避は困難との見方が依然強かった。株式市場の
反応を見てもしかり。FOMCの緊急利下げは、金融政策がやや後手に回っているこ
とを示している。FFレート先物は、1月30日FOMC時での更なる0.5%利下げ確
率を70%以上織り込んでいる。ただし、ECB(利下げが近付いたが、まだ差し迫
ってはいない)も利下げに傾く可能性が出て来た。
利回り曲線を見ても、実勢金利はかなり低下しており(赤線が本日の水準)、FFレートの更なる引き下げ余地が残されている。

最大のポイントは住宅問題
最大の問題点は住宅市場にある。これは、利下げ継続で住宅需要者の購買を促す(販売業者の値下げ+利下げに連動して、住宅ローン金利が低下するから)ことで、ある程度は効果を発揮するだろうが、住宅市場は大量の在庫を抱えている。今年も変動金利型ローンの金利見直し(リセット)を多く控えている。
何よりも、住宅ローン債権をベースにした証券化商品類への不信感が強く、投資家のリスク許容度を再び高めるのは容易ではない。また、金融機関は財務内容が悪化しており、貸し渋りや、貸し剥がしが増え、信用市場の回復には困難を伴う。
住宅問題については、いくらFRBでも限界がある。
待たれる次の一手
ブッシュ大統領は18日、実質国内総生産(GDP)の1%もしくは最大1500億ドル規模の景気刺激策を発表。ポールソン財務長官によると、同策には低・中間所得者層への税還付や企業の減税が含まれていると言う。
また、景気刺激策については、「早急に策定する必要がある。そして即効性を持たせる必要がある。この機会を逃せば、失敗に終わる。また、米住宅市場は顕著な調整を経験しており、景気拡大は、ここ数週間、明確に鈍化している。住宅セクターでは、一段の政策が必要で、より広範な景気の短期的押し上げと同じくらい急を要する」と語っている。次にはここからどんな政策が出てくるかが重要だ。
具体的には、債券保証会社(モノライン)救済策、CDO等の買取り機関設置等が出てくれば市場は好感するだろう。とりわけモノラインは非常に重要である。
モノラインが格下げになると、地方債から銀行株に至るまで幅広い市場に悪影響をもたらす。アムバック(ABK)、MBIA(MBI)、ファイナンシャル・ギャランティー・インシュアランス、セキュリティー・キャピタル・アシュアランス(SCA)など債券保証会社は、住宅ローン絡みの債券や地方自治体が発行する免税債の支払いも保証している。ただでさえ、今後の景気悪化で、税収減から、ほっておいてもこうした地方債の格付けは低下する運命にあるのに、保証機関本体までが格下げされてしまったら、ダブルパンチだ。おまけにこの地方債市場の規模は大きい。
地方自治体が発行する免税債(ミュニシパル・ボンド)は、発行体が、発行時に格付け機関に格付けを付与してもらうと同時に、金融保証会社に保証してもらうケースが一般的だ。ただし、問題は、金融保証会社が格下げされた場合、それら
保証会社の保証する免税債も、保証の確度が低下する為、理論的には価値が低下する。しかし、これら免税債は、発行体が格付け機関に料金を支払い、格付けし直しを要請しない限り、新格付けが判明せず、当然の帰結として価値評価も不透明となる。ただ漫然と価値が低下したとしか認識されない。困るのはこれら債券
を運用している投資顧問会社等である。資産価値減少を防ぐ為に、売却するしかないのである。従って、この市場を救う為にも、モノライン救済は必須になろう。
株式相場反騰の為には、このような信用収縮防止に向けた具体的内容が盛り込まれる必要がある。
損失額が明確化した段階で、大幅に財務内容が悪化した金融機関への公的資金注入まで予想するが、これにはまだ時間がかかろう。
=以上=

