2008年01月21日

金融保証会社(モノライン)格下げの影響

金融保証会社(モノライン)格下げの影響

1月20日

森  崇


世界株式市場急落の背景
@米格付け会社フィッチ・レーティングスが18日、金融保証会社(モノライン)大手アムバック・ファイナンシャル・グループの保険部門であるアムバック・アシュアランスの保険会社財務格付け(IFS格付け)を「AA」とし、最高格付けの「AAA」から2段階引き下げた。

AS&Pは18日、CDOのリッジウェイ・コート・ファンディングIIに「デフォルト(債務不履行)事由」が発生したことを明らかにした。保有資産の価値目減りにより、優先債の保有者に全額が返済されない恐れが生じたという。S&Pは、リッジウェイの格付け「AAA」のCDO8億7600万ドル(約935 億円)相当の格付けを引き下げる可能性がある。アムバックはリッジウェイのCDOの最高格付け部分に対し保証を提供している。目論見書によると、リッジウェイのCDOはシティグループが引き受け、クレディ・スイス・グループが管理している。

波及効果
債券保証会社が格下げになると、地方債から銀行株に至るまで幅広い市場に悪影響をもたらす。アムバック(ABK)、MBIA(MBI)、ファイナンシャル・ギャランティー・インシュアランス、セキュリティー・キャピタル・アシュアランス(SCA)など債券保証会社は、住宅ローン絡みの債券や地方自治体が発行する免税債の支払いを保証している。これら保証会社が格下げされた場合、保証する債券の価値は減少し、投資家に大きな損失をもたらす可能性がある。以下が債権保証大手セキュリティー・キャピタル・アシュアランス(SCA)の1年間チャートである。

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保険会社
また、保険会社の中にはモノラインの保険を引き受けているところもあり、証券化商品のデフォルトが生じた場合には保険金の支払いに応じる必要が出てくるからだ。以下が保険最大手AIG(AIG)の1年間チャートである。

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地方自治体が発行する免税債中心に運用する投資顧問会社
地方自治体が発行する免税債(ミュニシパル・ボンド)は、発行体が、発行時に格付け機関に格付けを付与してもらうと同時に、金融保証会社に保証してもらうケースが一般的だ。ただし、問題は、金融保証会社が格下げされた場合、それら
保証会社の保証する免税債も、保証の確度が低下する為、理論的には価値が低下する。しかし、これら免税債は、発行体が格付け機関に料金を支払い、格付けし直しを要請しない限り、新格付けが判明せず、当然の帰結として価値評価も不透明となる。ただ漫然と価値が低下したとしか認識されない。困るのはこれら債券類を大量に購入に、運用している投資顧問会社である。これら投資顧問会社の代表が、Franklin Resources(BEN)、Eaton Vance(EV)である。

(Franklin Resources(BEN)の1年間チャート)
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(Eaton Vance(EV)の1年間チャート)
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考えうる対策
信用収縮に歯止めをかけることを第一義とし、政府はFRBと協力しCDO等の買取り機関を設置するか、サブプライム関連の損失額が明確化した段階で、金融機関に対する資本注入に向けた行動を取ることが必要である。要は、今回の諸問題の元凶が、サブプライム住宅ローン問題にあるとの認識に立ち、その病巣を直接攻撃する手段が必要である。

ブッシュ政権が18日発表した約1400億ドル規模の景気拡大策(企業の税優遇措置や所得税優遇措置も含まれている。政府は、国民一人当たりに800ドル、1世帯に1600ドルの割戻金を支払うほか、企業投資を奨励するための税優遇措置などを含む)では実効性が薄い。

posted by mori at 18:41| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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