2009年03月19日

次の一手はTALF統合の官民合同ファンド

株高に向けFRBの援護射撃が始まった
=次の一手はTALF統合の官民合同ファンド=

3月18日

森  崇


最近発表された経済統計はそれほど悪くない。2月の住宅着工・許可件数は予想外に増加した。先週発表された小売売上高統計も意外な強さを示した。

このまま改善を続ければ、企業の多くは年初に向け在庫を削減した。消費の回復傾向が続けば、メーカーは生産拡大が必要になるだろう。

   (小売と住宅建設の反発力が著しい)
S&P小売指数は17日に3%高となり、3月6日の安値から18%上昇。ダウ住宅建設指数は同期間中に25%上昇した。これは、米国経済が最悪期を脱しつつあることを示唆している。なぜなら、これらのセクターがこれまで金融危機で最もダメージを被っていたからだ。

17日、シティ・グループのチーフUSエクイティ・ストラテジスト、トビアス・レブコビッチ氏が、17ヶ月に及んだ米国株の下落周期は終わったか、終わりに近いとコメントしている。

   (レブコビッチ氏コメント要旨)
S&P500指数は、2007年10月高値から今年3月9日の底値まで57%下落している。これは、29年大恐慌時の86%に次ぐ下落率であった。相場は底値から12%反発した。底打ちの判断は、パニック売りの存在が重要になるが、3月11日に終了した1週間で、株式ファンド(ETFも含め)からの資金純流出は84億ドルと記録的な額に達した(AMGデータによる)。また、個人投資家の多くは、もう持ち株を全て売却したいとの悲観にくれていた。これらは、底打ちを示唆する伝統的サインである。S&P500指数は年末までに1,000をつけると見る。

さて、経済情勢の改善を示すこうした兆候が、本格的な景気回復につながるかどうかは、今後の政策対応次第だ。

その意味で、本日FOMC声明の意義は大きい。

   (FOMCの声明のポイント)
★長期国債を今後6カ月間にわたり最大3000億ドル購入する。
★住宅ローン担保証券(MBS)の購入枠を7500億ドル引き上げ、年内の購入規模を最大1兆2500億ドルとする。
★政府機関債の購入枠を1000億ドル引き上げ、年内の購入規模を最大2000億ドルとする。
★消費者、中小企業向け債権の証券化市場の支援措置(TALF)で担保条件を緩和し金融資産も担保として認める見通し。

FF金利の誘導目標を0−0.25%の範囲に据え置くとともに、当面は異例の超低金利が妥当となる公算が大きいとコメントしている。

サプライズは、長期国債の買い取りである。現実的な観点から、今回、国債購入が決定される可能性は非常に低いと予想されていた。そもそも国債買い取りは、デフレ圧力の高い時期に実施される。流動性を供給することの他に、FRBが国債を購入することにより、金融機関が保有する国債と言うリスク資産が減少することになる。この結果として、貸出しや投資等の増加が期待されるわけである。いわゆるポートフォリオ・リバランス効果を狙うわけである。典型的な量的緩和政策
である。今日は、この声明のおかげで10年国債の利回りが1962年以来で最大の下げを演じた。意表をつくFRBによる国債買い取り発表により、長期金利が大幅に下げ始めたのだ。10年国債の利回りは、住宅ローンや自動車ローン金利の基準となり、極めて重要な役割を演じる。

さて、これからの最大の問題は、銀行のバランスシートからどのように不良債権を取り除くかという点だ。バーナンキFRB議長も、金融セクターの安定化が景気回復の前提との認識を繰り返し示している。

こんな中、オバマ政権はターム物資産担保証券ローン制度(TALF)の購入対象に、銀行が保有する問題資産を加えることを検討しているもよう。また、米当局は消費者ローン促進を目的としたFRBのTALFと、財務省が計画している官民合同投資ファンドの統合や、米連邦預金保険公社(FDIC)の役割拡大も検討していると言う。

シティ・グループ他、大手銀行の好業績見通しから火がついた今回の反発相場だが、政策がなければ持続しない。その意味で、官民合同投資ファンド構想は極めて重要度が高い。迅速な実現を期待したい。


=以上=
posted by mori at 10:06| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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