2009年03月24日

ついに明らかになった官民合同ファンドの内容(3月23日)

ついに明らかになった官民合同ファンドの具体的内容
=株式投資環境は一層明るくなった=

3月23日

森  崇


米財務省は23日、金融危機対策で銀行などから不良資産を買い取る「官民合同ファンド」の具体的内容を発表した。

   (政策の骨子)
★買い取りのための官民投資プログラムは、昨年導入された7000億ドル規模の問題資産購入計画(TARP)から750億−1000億ドルの資金を使用。政府に5000億の「買い取り権限」を付与する。
★連邦預金保険公社(FDIC)による債務保証や、連邦準備制度理事会(FRB)の低利融資を加え、買い取り規模は当初は5000億ドルを目標にし、最終的には1兆ドルをめざす計画。
★不良資産買い取り計画は約8%が民間部門から拠出される見通しで、明らかに政府が大きな役割を担うことになる(ローマー大統領経済諮問委員会(CEA)委員長発言)。
★プログラムを開始するための議会承認は不要である。

   (買取対象)
買い取るのは金融機関の不良資産。

   (不良資産買取に参加する対象)
保険会社や年金基金、さらには個人投資家にも参加を呼びかけるが、不良資産を買い取る資産運用会社については、不良資産購入の実績が明らかな企業を最大5社選出する。

   (民間参加を促す為の甘味剤)
★買い取り資金の大部分を財務省やFDIC、FRBが融資や債務保証などで実質的に負担する。
★計画への参加企業は議会が定める管理職給与規制の対象から外れる。保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)で問題になった金融機関の高額ボーナス等の規制はかけない。

   (買取方法)
財務省と民間投資会社が共同で対等出資する「官民投資基金」を複数発足させる。複数の基金を競争入札で買い取りに参加させ、不良債権処理を加速する。5月までに民間の資産運用会社が選出された後、すぐに資産買い取りが始まる見込み(大統領経済諮問委員会(CEA)のグールスビー委員発言)。

   (政策に対する疑問点)
@この計画は民間投資家の参加に依存しているため、機能するかどうかがはっきりするのに時間がかかる可能性がある。
A米金融機関が抱える不良資産は、総額で約4兆ドルに上るという試算もある。1兆ドルで十分かの疑義が残る。
B投資家が損失を被った場合、何らかの保証があるのか、あるとすればどのような保証かといった疑問も残る。

   (政策に対し評価できる点)
@政策の方向性は正しく、金融システムの問題解決に向けた積極的な対策であり大きな意義がある。
A買取方法も妥当性が高い。銀行が漸進的に不良資産をバランスシートから切り離すのを期待すると日本の例のように時間がかかる。また政府が不良資産を直接買い取ると民間に転売する手間がかかったり、買取価格設定に困難が生じる可能性が出る。

   (日本の例)
★日本は97年11月に山一証券が破綻し、金融不安が深刻化。
★政府は98年3月、大手21行に1.8兆円の公的資金を投入した。
★不良債権の実態把握が不十分だったことから、98年6月に金融監督庁(現金融庁)が大手行の資産を検査し、99年に15行に7.5兆円の公的資金を追加投入。
★01〜02年にはより厳格な特別検査を実施し、不良債権半減を促す計画を策定。
★03年のりそなホールディングスへの公的資金投入を経てようやく安定に向かった。

B民間からの参加を促す甘味料が効果的。債券ファンド大手、PIMCOの共同投資責任者、ビル・グロス氏は23日、「政府が提案した中で初めての、当事者全員に利益をもたらす政策だ」と、政府主導の不良資産買い取り計画に参加する方針を明らかにした。また、資産運用大手ブラックロックも参加する意向を表明。

株式市場へのインパクト
金融システムの問題解決に向けた抜本的な対策であり大きな意義がある。この計画により、投資家の信頼感が高まり、リスク許容度が増した。それが今日の株式相場急騰となって表れている。ダウ指数は採用30銘柄が全て上昇した。

不良資産の買い取り価格設定などのハードルも残っているが、計画が具体的に動き出せばもう一段リスク回避姿勢が緩和されるだろう。

今回の相場反転のきっかけとなったのが、金融機関好業績見通しである。米国株式市場の本格的な反応については、米金融機関の1─3月期の決算などをみてからになるのではないか。特にゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーは銀行持株会社に改編したことにより、決算月が他の銀行同様12月になった。その意味で、決算の集中する4月20日近辺が重要になろう。


=以上=
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2009年03月19日

次の一手はTALF統合の官民合同ファンド

株高に向けFRBの援護射撃が始まった
=次の一手はTALF統合の官民合同ファンド=

3月18日

森  崇


最近発表された経済統計はそれほど悪くない。2月の住宅着工・許可件数は予想外に増加した。先週発表された小売売上高統計も意外な強さを示した。

このまま改善を続ければ、企業の多くは年初に向け在庫を削減した。消費の回復傾向が続けば、メーカーは生産拡大が必要になるだろう。

   (小売と住宅建設の反発力が著しい)
S&P小売指数は17日に3%高となり、3月6日の安値から18%上昇。ダウ住宅建設指数は同期間中に25%上昇した。これは、米国経済が最悪期を脱しつつあることを示唆している。なぜなら、これらのセクターがこれまで金融危機で最もダメージを被っていたからだ。

17日、シティ・グループのチーフUSエクイティ・ストラテジスト、トビアス・レブコビッチ氏が、17ヶ月に及んだ米国株の下落周期は終わったか、終わりに近いとコメントしている。

   (レブコビッチ氏コメント要旨)
S&P500指数は、2007年10月高値から今年3月9日の底値まで57%下落している。これは、29年大恐慌時の86%に次ぐ下落率であった。相場は底値から12%反発した。底打ちの判断は、パニック売りの存在が重要になるが、3月11日に終了した1週間で、株式ファンド(ETFも含め)からの資金純流出は84億ドルと記録的な額に達した(AMGデータによる)。また、個人投資家の多くは、もう持ち株を全て売却したいとの悲観にくれていた。これらは、底打ちを示唆する伝統的サインである。S&P500指数は年末までに1,000をつけると見る。

さて、経済情勢の改善を示すこうした兆候が、本格的な景気回復につながるかどうかは、今後の政策対応次第だ。

その意味で、本日FOMC声明の意義は大きい。

   (FOMCの声明のポイント)
★長期国債を今後6カ月間にわたり最大3000億ドル購入する。
★住宅ローン担保証券(MBS)の購入枠を7500億ドル引き上げ、年内の購入規模を最大1兆2500億ドルとする。
★政府機関債の購入枠を1000億ドル引き上げ、年内の購入規模を最大2000億ドルとする。
★消費者、中小企業向け債権の証券化市場の支援措置(TALF)で担保条件を緩和し金融資産も担保として認める見通し。

FF金利の誘導目標を0−0.25%の範囲に据え置くとともに、当面は異例の超低金利が妥当となる公算が大きいとコメントしている。

サプライズは、長期国債の買い取りである。現実的な観点から、今回、国債購入が決定される可能性は非常に低いと予想されていた。そもそも国債買い取りは、デフレ圧力の高い時期に実施される。流動性を供給することの他に、FRBが国債を購入することにより、金融機関が保有する国債と言うリスク資産が減少することになる。この結果として、貸出しや投資等の増加が期待されるわけである。いわゆるポートフォリオ・リバランス効果を狙うわけである。典型的な量的緩和政策
である。今日は、この声明のおかげで10年国債の利回りが1962年以来で最大の下げを演じた。意表をつくFRBによる国債買い取り発表により、長期金利が大幅に下げ始めたのだ。10年国債の利回りは、住宅ローンや自動車ローン金利の基準となり、極めて重要な役割を演じる。

さて、これからの最大の問題は、銀行のバランスシートからどのように不良債権を取り除くかという点だ。バーナンキFRB議長も、金融セクターの安定化が景気回復の前提との認識を繰り返し示している。

こんな中、オバマ政権はターム物資産担保証券ローン制度(TALF)の購入対象に、銀行が保有する問題資産を加えることを検討しているもよう。また、米当局は消費者ローン促進を目的としたFRBのTALFと、財務省が計画している官民合同投資ファンドの統合や、米連邦預金保険公社(FDIC)の役割拡大も検討していると言う。

シティ・グループ他、大手銀行の好業績見通しから火がついた今回の反発相場だが、政策がなければ持続しない。その意味で、官民合同投資ファンド構想は極めて重要度が高い。迅速な実現を期待したい。


=以上=
posted by mori at 10:06| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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