2009年02月24日

本日の米国株相場について 2/23

本日の米国株相場について

2月23日

森  崇

S&P500指数とダウ指数は1997年以来の安値をつけた。

続落の背景
1.金融安定化についての具体策が未だ発表されていない。
財務省、連邦預金保険公社(FDIC)などと米連邦準備制度理事会(FRB)は23日、断固として金融システムを支えるとする緊急声明を連名で発表した。これは為替市場でドルの支援材料となったが、あくまで応急措置的リップ・サービスであり、待たれている金融安定化に関する具体策ではない。ここから失望売りが出た。

2.ダウ指数がITバブル崩壊後の最安値7,197(2002年10月9日のザラ場の安値)を下回った。テクニカルな支持線が6,000ドルまでないことから、投機筋から売りを招いた。

3.個別に悪材料が広範に出た。
@鉄鋼株に悪材料。
アルセロール・ミタル(MT)
★UBSが同社株の投資判断を“買い”から“中立”に引き下げた。世界の鉄鋼生産は急速に増加し過ぎたと言う。これを受け、ヌーコアなど他の鉄鋼株も安い。
★EU規制当局から、鉄筋コンクリート用の鉄鋼に関して、価格談合があったとして、同社の子会社が罰金支払いに直面していると言う。

A医療保険株に悪材料。
ヒューマナ(HUM)
★医療保険全米2位のヒューマナがネガティブ・コメント。2010年のメディケア・アドバンテージ・プログラム用暫定料金は、もし提案に変更がなければ、保険会社の保険料にも、加入者ベネフィットにも明らかにネガティブに作用するとコメントした。その他健康保険会社株も急落。UNH、AET、CVH、WLP、HSなどが急落した。

B運用会社に悪材料。
ジャナス・キャピタル(JNS)
★投資顧問会社の信用格付けがS&Pによって引き下げられた。BB+へと、ジャンク債レベルまで下げられた。

Cハイテク株に悪材料。
モルガンスタンレーが、顧客向けに、ハイテク株と素材株をアンダー・ウェイトするように推奨した。世界景気は引き続き悪化していると言う。直近の上昇レベルでは売りを推奨。単なるバリュエーションが適正だけの理由では、株は上がらないとしている。収益モメンタムが依然ネガティブだと言う。

Dアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)株に悪材料。
AIGは、米政府に追加支援を求めて交渉している。CNBCは、AIGが最大600億ドルの損失を発表する可能性があると述べた。また、同社が連邦破産法の適用申請の可能性についても検討していると伝えたが、それが実現する見込みはほとんどないと指摘。


私見
米国株はテクニカルな支持線を下回った。当面下落圧力が続くだろう。ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーに対し、米政府が破綻処理をしたうえで再建を目指す手法の具体的な検討に入ったとWSJ紙が報じた。両社の破綻処理には少なくとも400億ドルの費用が必要だという。オバマ政権は、米連邦破産法11条で両社を破綻処理することを選択肢として真剣に検討しており、JPモルガンなど大口債権者と協議を進めていると言う。破綻処理後に金融機関に再建資金を出資させ、それを政府が保証する形を取る。今日のところは、自動車株はしっかりしている。

フォードと全米自動車労組(UAW)が、フォードの退職者を対象とした任意従業員福利厚生基金(VEBA)の契約変更で暫定合意したことが背景である。しかし、破綻手続きを取った場合の景気への影響を相場は懸念する筈である。このように、市場にはかなり悪材料が集中しているが、ポジティブ面もある。米銀行監督局は23日、25日から各銀行に対する負荷テストを実施するとの共同声明を発表した。負荷テストの結果を受け、公的資金の注入を決定する。保有する転換権付優先株を普通株に転換する手法を取る。ガイトナー米財務長官は今週、国内大手銀に対する負荷テストの詳細を発表する。テストの結果、どの銀行にどの程度の資本余剰を求めるかを決めるという。保有する同銀の優先株を普通株に転換すれば、銀行国有化に向かうことになる。銀行危機への解決策として短期的には政府による銀行接収が回避不可能かもしれない。これが少なくとも金融セクターの安定化に役立つだろう。また、金融安定化に向けた具体策の提示も待たれるところだ。


=以上=
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2009年02月18日

本日の米国株安と当面の見通し 2/18 =S&P500指数が昨年11月以来の800割れ=

本日の米国株安と当面の見通し
=S&P500指数が昨年11月以来の800割れ=

2月17日

森  崇


1.米国プレジデンツデー(16日)の休場も含め、海外株が安かった。
@日本の2008年10−12月期実質国内総生産(GDP)が大幅に落ち込んだことを受け、景気不安が再浮上した。また、中川財務相兼金融担当相辞任も麻生政権に打撃と受け止められ、相場にとっては懸念要因となった。

Aムーディーズは17日公表した欧州新興国(特に東欧)の銀行セクターに関する特別報告書のなかで、景気後退が他の地域より深刻化する恐れがあるため、同地域の銀行、および同地域に子会社を持つ西欧の銀行の財務力格付けが圧力にさらされていると警告した。銀行株では、スウェーデンのスウェドバンクとイタリアのウニクレディトが急落。両行は、東欧で小会社を保有している。一方、ドルは大半の主要通貨に対して上昇。株価の下落を受けて逃避先としての需要が強まった。ポーランド・ズロチは対ユーロ最安値付近まで下落。同国の副首相がズロチの下落は危険と発言した。これは、米国の銀行株安要因ともなった。
   
B独自動車メーカーのダイムラーが、2008年通期利益が予想を下回ったことを嫌気され急落した。これが他の市場にも悪影響を及ぼした。

2.GM、クライスラー問題に注目が集まる。
ゼネラル・モーターズとクライスラーが17日、政府支援の継続へ向け経営再建計画を提出する期限を迎える。難航が続いたが、16日になって債権者や全米自動車労組(UAW)との歩み寄りも見られ、債務の削減策などで一定の進展があったとされる。しかし、提出期限までに合意できるかどうか、流動的との見方もあるため、これを懸念した売りが出た。

3.マドフに次いで、新たな大規模詐欺容疑が生じた。
SECは17日、米投資会社スタンフォード・ファイナンシャル・グループのR・アレン・スタンフォード会長が傘下のスタンフォード・インターナショナル銀行を通じ、80億ドル相当の譲渡性預金証書(CD)を販売したことについて、大規模かつ、現在もまだ継続中の詐欺行為を働いたとして提訴した。SECはダラス連邦地裁に資産の凍結と、投資家に資金を返還する管財人の任命を求めた。

4.景気指標の悪さが目立った。
@ニューヨーク連銀が17日に発表した2月の同地区の製造業景況指数はマイナス34.7(前月はマイナス22.2)と、予想(マイナス23.8)を上回る落ち込みだった。これは、2001年の統計開始以来で最低だった。6ヶ月後の見通しを示す期待指数はマイナス6.6(前月マイナス4)と、一段と悪化した。

A全米ホームビルダー協会(NAHB)とウェルズ・ファーゴが17日発表した2月の米住宅市場指数は9(前月は最低値8)と、予想(8)を若干上回った。一戸建て販売の現況指数は7(前月6)に上昇、購買見込み客足指数も11と、前月の8から上昇したものの、6ヶ月先の一戸建て住宅販売見通し指数は15(前月17)に低下し、過去最低値となった。


私見
金融安定化策に具体性が欠けるとのことから、株は先週から失望売りを浴びている。今日は上記の通り多くの弱材料を背景に売り込まれた。明らかに昨年11月20日の安値を意識した動きだ。短期的には、この安値を下回る可能性がある。

ただし、一方で、好材料も出ている。72兆円規模の米景気対策法が成立した。またオバマ政権は住宅対策で、住宅ローンの返済が困難な借り手を対象とした金利減免に公的資金を投入する一方、議会には住宅ローン条件変更策の拡充で承認を求める見通しであり、ガイトナー米財務長官は18日にこの計画を発表する意向であるとのニュースが報じられている。

相場は当局の動きを睨みながら、当面神経質な展開となりそうだが、自律反発も近そうだ。ただし、相場反転のためには、金融安定化策も含め、政策面での進展が何よりも必要だ。

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posted by mori at 10:01| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月11日

本日の米国株相場について 2/10

本日の米国株相場について

2月10日

森  崇


株急落の背景
ガイトナー財務長官が10日、金融安定化策を発表。ただし、以下のような評価がされた。これを受け、特に銀行株が急落。

★官民共同のファンド設定に関して、さまざまな仕組みを模索しており、市場関係者や国民から意見を得るつもりだ。この計画は最大1兆ドルを供与できるが、まずは5000億ドルから始め、状況に応じて拡大していくとしているが、具体性、透明性が欠けている。これで金融危機が救えるかとの疑義が生じた。

★新規融資を促進し、不良債権に取り組むためのプログラムに政府が最大2兆ドル(約180兆円)を拠出する方針を表明したが、そこまで金融システムが悪化しているのかとの認識が広がるとともに、懸念が増大した。

★何よりも、銀行のバランスシートから不良債権が削除されるバッドバンク設立が断念されたことから、このままシティ・グループやバンカメのように政府保証が増大する結果、国有化につながるとの懸念が高まった。これを受け、シティ(C)、バンカメ(BAC)株ともに20%を超す下げを演じており、他の銀行に比べ下落率が大きい。

★ノーベル経済学賞受賞者のジョゼフ・スティグリッツコロンビア大学教授は、米金融安定化策が成功する可能性は極めて低いとの見方を述べた。また@同対策が住宅差し押さえの増加を食い止められていないほか、金融機関の不良資産は誰が最終的な責任を持つのかが明確になっていない。A未払いの住宅ローン返済をめぐり条件などを再交渉する際に、金融機関は適切なインセンティブを受けていない。また政府はローン提供においてリスクを取り過ぎていると指摘している。


債券相場は急伸
市場参加者の間で米金融安定化策は内容不十分との観測が広がり、安全投資から国債に買いが入った。株急落で、質への逃避的買いも入った。


金価格が急騰
ニューヨーク金先物相場は大幅反発。米 政府の金融安定化策と景気対策がインフレ高進を引き起こすとの思惑から、ヘッジ需要の買いが入り、この1週間で最大の値上がりとなった。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物相場4月限は、前日比21.40ドル(2.4%)高の1オンス=914.20ドルで終了した。中心限月としては1月30日以来で最大の値上がりだった。


私見
アメリカン・エンタープライズ・インスチチュート・シンクタンクのヴィンセント・ラインハート氏は、グリースパンFRB元議長や、バーナンキ現議長とも仕事した経験を持つが、「今信用市場に必要なのは、ショックと機能回復をもたらす優れたキャンペーンだが、実際もたらされたのは、控えめなものだ」と語っている。
ゼロ金利時の対処法は、兎に角気違いみたいにお札を印刷し、全ての種類の金融商品を買い上げ、価格上昇を狙うことだ。しかし、これまでのところ、FRBは、信用リスクを取ることをためらっている。

元FED副議長で、プリンストン大学経済学部教授であるアラン・ブラインダー氏は、元気付けるサインも出ていると言う。FRBが、もっと証券市場に目を向けるようになってきたからだからだと指摘する。

とりあえず景気対策も上院で可決されており、悪いことばかりではない。今後株式相場は、より具体的かつ効果的な金融安定化にむけた運用を催促するフェーズに移るだろう。

今日で全てが決まったわけではない。逆だ。あまりにも抽象的すぎるのだ。ただし、だからと言って政策失敗を意味するものではない。今後の当局の運用能力を期待したい。


=以上=
posted by mori at 09:14| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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