2008年02月05日

ヤフー買収劇がどう着地しようとグーグルの優位性は不変

ヤフー買収劇がどう着地しようとグーグルの優位性は不変

2月4日

森  崇

マイクロソフトの立場
向こう10年の間に、オフライン広告はすべてオンラインになる。オンライン広告は大きく成長する。少なくとも広告プラットフォームの面では、この市場には今のリーダー(Google)と競うだけの価値がある。技術面でヤフーを強化でき、ヤフーは広告・ブランド力で貢献できる。買収による相乗効果は十分ある。

ヤフーの立場
ヤフーにはベンチャー気質が生きている。しかし、マイクロソフトは大企業で、官僚的。両社の社風が大きく違い、AOL・タイムワーナーの失敗を想起させる。シリコンバレー気質としてシアトルのマイクロソフトに買収されることは苦痛であり、買収が成立すればヤフーが抱える優秀な人材の流出は避けられないだろう。
ヤフーの株主は買収を歓迎するが、経営側は態度を留保している。本音は、おそらく買収価格の低さと、社風の相違から、買収には反対だろう。

グーグルは買収に反対するが、その言い分
両社が合併すれば、コンシューマーが競合企業の電子メール、IM、Webベースのサービスを自由に利用できないよう、PCソフトウェアにおける独占を利用して不当な制限を加えることができる。これはマイクロソフトの常套手段である。

もし、買収が成立したとして、グーグルをキャッチアップできるか?
一番重要な検索技術や検索連動広告関連システムにおいて、マイクロソフトはグーグルにキャッチアップできていない。ヤフーを買収しても、この差は縮まらないだろう。デスクトップ関連ソフトや、携帯OS分野ではマイクロソフトがリードしているが。

買収は独禁法に抵触するか?
独禁法専門家はネット検索と広告市場はグーグルの独占状態にあることから、当局が待ったをかけることはないだろうとしている。インターネット調査会社comScoreの統計によると、Googleは世界Web検索市場で77%のシェアを握り、2位で16%のYahoo!を大きく引き離している。Microsoftは大きく離され、3.7%にとどまっている。

今後予想される展開
マイクロソフトは、敵対的買収を厭わない姿勢だが、ヤフーは、マイクロソフト以外の買収企業を探すだろう。もしマイクロソフトが強硬に推進する場合は、ヤフーがポイズン・ピル(毒薬条項)などの買収防止策を展開する可能性あり。
ここに、ファンドや、AT&TやCATV最大手のコムキャストなどが、買収に割り込み、ハイテク大手による買収合戦に発展する可能性あり。いずれにせよ、マイクロソフト以外の相手に買収されることになりそう。

2月4日グーグル株が急落した背景
ゴールドマン・ザックスが、アメリカン・コンビクション・バイリストからグーグルを除外したから。予想に届かなかった決算発表がきっかけとなり、グーグル株の直近の低調なパフォーマンスが除外の背景。ただし、投資判断は“買い”のまま据え置かれ、目標株価も700ドルのままである。2012年まで、20%程度の増収増益率を維持していく見通しは変わらないとしている。


私見
ヤフーをマイクロソフトが買収できたところで、グーグルの検索連動広告関連システムの牙城は崩せない。技術力が圧倒的にグーグルの方が高いことに加え、
グーグルの技術は刻々と自己増殖しているからだ。また、今回こそ、四半期決算が予想を下回ったが、それでもグーグルゆえの期待先行がもたらしたものだ。前年同期比51%増収など達成できる企業は、グーグル以外には考えられない。

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=以上=
posted by mori at 14:27| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月04日

改善する米国株の各種指標

改善する米国株の各種指標

2月3日

森  崇

テーラー・レートを下回ったFF金利
FFレートは遂に3%まで引き下げられた。直近の経済指標から、コアCPI年率
2.4%、昨年第4四半期GDP成長率(暫定値)0.6%をもとに、テーラー・ルール
を用いて、FFレートの妥当値をはじいてみた。数値は3.45%となり、現行のFFレートは、これを下回る結果となった。以下のグラフの通りである。

(テーラー・ルールとは)
スタンフォード大経済学者のジョン・B・テーラーが1992年に提唱した、FFレートの適正金利を算出するルール。【FFレート=現実のインフレ率+中立実質金利2%+(現実のインフレ率−目的のインフレ率2%)÷2+(現実のGDP−潜在成長率2.9%)÷2】

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FFレートが適正値を下回ったのは、信用収縮に対応する為の安全弁と考えられるが、いわゆるバブルが生じる起点ともなりうる。

前回2001年9月時点で、テーラー・ルールで算出したFFレートが2.8%位から反発する一方、実際のFFレートは逆に低下しているのが見て取れる。グリーン・スパン前FRB議長の失態を指摘する批判する向きが、良くこれを使っている。これが、余分な過剰流動性を生み、住宅バブルを生んだと言うのである。しかし、株式に、このスピルオーバー現象が表れ始めた。


改善する各種株価指標
1.短期ベア・トレンドを上抜いたダウ指数


以下は、ダウ指数のチャートである。指数は、短期のベア・トレンドを上抜いている。次の抵抗線は13,000ドル・レベルである。

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2.ダウ構成銘柄30種中、10銘柄で、底値からほぼ20%以上株価が反発。
20%反発は、いわゆる底打ちとされる条件である。
  
  ダウ指数の戻りが特に良い。これは、目下の物色トレンドが、大型株指向である為だ。リセッション懸念がある中、やはり寄らば大樹の陰で、大型株が物色人気になっている。また、以下の通り、問題業種だった銀行、小売りに
  底打ち銘柄が続出しているのが分かる。


(ダウ指数構成銘柄中底値からほぼ20%以上反発した銘柄)
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3.債券から株式へのシフトを示唆するグラフ

   以下は4年強に及ぶナスダック指数チャートである。今回の急落でも
   支持線は割らなかった。逆に、2,300を起点に反発し始めた。

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   以下は13週Tビル金利推移である。こちらは短期下降トレンドの下限に
   到達したところである。
 
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4.イールド・カーブの形状変化はリセッション回避を示唆

   直近2週間で見ると、2年以上の債券の利回り曲線は順イールドで、長期債(10年、30年)の利回りは徐々に上げに転じ始めた。原油を初めとする商品相場の騰勢に歯止めがかかった現在、スタグフレーション・シナリオを外れ、期待インフレの高まりとともに、リセッション回避を示唆するものである。

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5.モノライン救済に向け前進
直近の世界同時株安を招来した直接のきっかけは、金融保証会社(モノライン)の格下げである。しかるに、モノライン救済で前進が見られている。

@先々週は、著名投資家のウィルバー・ロス氏が金融保証会社アムバック・ファイナンシャル・グループを買収することで交渉していると英紙イブニング・スタンダードが24日報じている。

Aニューヨーク州エリック・ディナロ保険局長は、現在取りまとめ中の150億ドル規模の救済策は、モノラインがAAAの格付けを失う前に完了したい旨表明したが、NY州のスピッツァー知事は、救済計画が順調に進展している旨コメントした。CNBCは1日、金融保証会社(モノライン)救済を目指して銀行8行がコンソーシアム(企業連合)を結成したと報じている。

Bムーディーズは、モノライン各社の評価見直しを2月下旬までに終了する計画だと発表したが、各社とも、大幅に資本増強が成功すれば、格下げは回避できるのである。

CMBIA(MBI)は30日決算発表に際し、AAA格を維持できるとの自信を示した。以下がMBIAのCEO発言内容である。

「モノラインが保証する証券などの価値が下がることで業界は悪影響を受
 けており、我々も危機を乗り切ることが必要である。しかし、その中でMBIAは非常に有利な立場にあると確信している。正直なところ、市場は過剰に反応しすぎているというのが我々の印象だ。また、その様な不安が同社の株価を1年で約80%下げた要因となっているだろう」

Dアムバック(ABK)に強材料
★シティグループがアムバック(ABK)の目標価格を7ドルから12ドルに引き上げた。アムバックが111億ドルにのぼる巨額な税前損失を計上したこと、及び、現在の株価が、見込損失を控除した一株当たり純資産価値(56$)の20%レベルに落ち込んでいる事実は、更に悪化する事態をも織り込んでいると言える。

 ★投信大手のパトナム・インベストメントが、直近アムバックの持ち株比率を6.6%に高めた。昨年9月30日現在で、パトナムは、同2.48%保有していた(当時1位はフィデリティーの9.99%で、パトナムは15位の大株主だった)。

6.買収案件や、企業分離・独立の動きが続出中。
  特に、破綻が懸念されていた住宅金融最大手のカントリーワイド・フィナンシャルがバンカメに買収されたり、仏銀首位のBNPパリバが、第2位のソシエテ・ジェネラル買収を検討中とのニュースは朗報と言える。金融業界以外にも、先週だけで以下の案件が指摘できる。

@マイクロソフト(MSFT)
マイクロソフトは1日、ヤフーに446億ドルで買収を提案したと発表した。
更に敵対的買収に発展する可能性もある。

Aモトローラ(MOT)
携帯電話端末で米最大手のモトローラは、携帯電話部門の分離を検討する方針を明らかにした。

Bアルミ関連株
アルミ大手アルコアと中国最大のアルミニウムメーカー、チャイナルコが、豪鉱山会社BHPビリトンによる英豪系リオ・ティント買収の阻止を狙い、リオの株式を取得した。

CCMEグループ(CME)
世界最大の先物取引所、CMEグループは28日、NYMEXホールディングスの買収に向けて予備交渉に入った。

Dアルトリア・グループ(MO)
   海外たばこ部門をフィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)として、3月28日にスピンオフ(分離・独立)すると発表した。


=以上=

posted by mori at 12:12| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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