2008年01月30日

【緊急レポート】=金を初めとする商品は引き続き買われよう=

【緊急レポート】=金を初めとする商品は引き続き買われよう=

1月29日

森  崇

1月23日発した当面の底打ち宣言以降、米国株は順調に上昇に転じている。以下のポイントを背景として指摘したい。

1.0.75%緊急利下げに加え、30日にはFOMCにて更に0.50%の追加利下げが予想されており、この大幅利下げはとりわけ金融株にポジティブである。サンフォード・バーシュティン等は、今回の矢継ぎ早の利下げを背景に、複数の金融株の投資判断を引き上げている。実際金融株の多くは、ここ6営業日中5営業日株価が上昇している。急落が続いていた住宅建設関連株もしかり。
  本日、パトナム・インベストメンツのインベストメンツ・ヘッド、ケビン・クロニン氏が、「金融株の最悪期は終わった感があると」とコメントしている。

2.ニューヨーク州エリック・ディナロ保険局長は、現在取りまとめ中の150億ドル規模の救済策は、モノラインがAAAの格付けを失う前に完了したい旨表明。また、米議会が検討している1500億ドル規模の景気刺激策も、その効果は不問に付すこととして、スピーディーに出て来た。

とにかく、リセッション入りを阻止する為、総動員で対処する政府、当局の姿勢が株式市場に安心感をもたらしている。

更に、スイスの銀行UBSが28日発表したリポー トによると、先週の米国株は昨年10月以来で初めて買い越しとなったようだ。先週は16億3000万ドル(約1740億円)の純流入だったもよう。週間ベースでの純流入は15週間ぶりで、外国人投資家が主に寄与したそうだ。

ハーバード大学のマーティン・フェルドシュタイン教授は、米経済が今年リセッション入りした場合、金融市場の動揺を背景に、最近のリセッションより落ち込みが深くなる恐れがあるとの見方を示している。金融分野の脆弱さが背景。同教授はFOMCが29、30日の会合で0.5ポイントの追加利下げを決めるべきだとの考えを示した。また、状況に応じて更に利下げを継続する必要性も指摘した。

FRBはまさにこのスタンスに則って利下げを敢行している。とにかくリセッション入りは阻止したい、行き過ぎた利下げは後で修正すれば良いと言うわけだ。

ダウ指数も、6営業日中、5営業日で株式が上昇している。


(ダウ指数6ヶ月間チャート)
chart_20080130_1.jpg


次は、モノライン救済策がスピーディーに運ぶかどうか、景気刺激策の実効性等がチェックされるフェーズに入ると思われる。これが疑問視され、株が再度下落する過程で、ヘッジファンドや、ヨーロッパの金融機関で、損失発生の悪材料が出るかもしれない。

その際、ECBは利下げに傾くことが予想されるし、FRBの利下げも当面継続しよう。これがドル、ユーロ安を招来するとともに、究極の通貨である金が引き続き買われるだろう。いや、金に限らず、ドル建てで取引されている、穀物、原油等にも資金流入が続くだろう。

(金のETF“GLD”の6ヶ月間チャート)
chart_20080130_2.jpg
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2008年01月24日

【緊急レポート】米国株の値幅整理はほぼ終了か

【緊急レポート】米国株の値幅整理はほぼ終了か

1月23日

森  崇

(今回の世界同時株安の元凶はモノライン格下げ)
直近の世界同時株安を招来した直接のきっかけは、金融保証会社(モノライン)の格下げである。

米格付け会社フィッチ・レーティングスが18日、金融保証会社(モノライン)大手アムバック・ファイナンシャル・グループの保険部門であるアムバック・アシュアランスの保険会社財務格付け(IFS格付け)を「AA」とし、最高格付けの「AAA」から2段階引き下げた。

モノラインが格下げになると、地方債から銀行株に至るまで幅広い資産に悪影響をもたらす。アムバック(ABK)、MBIA(MBI)、ファイナンシャル・ギャランティー・インシュアランス、セキュリティー・キャピタル・アシュアランス(SCA)など債券保証会社は、住宅ローン絡みの債券や地方自治体が発行する免税債の支払いも保証している。ただでさえ、景気悪化による税収減から、ほっておいてもこうした地方債の格付けは低下する運命にあるのに、保証機関本体までが格下げされてしまったら、ダブルパンチだ。おまけにこの地方債市場の規模は大きいから始末が悪い。

地方自治体が発行する免税債(ミュニシパル・ボンド)は、発行体が、発行時に格付け機関に格付けを付与してもらうと同時に、金融保証会社に保証してもらうケースが一般的だ。ただし、問題は、金融保証会社が格下げされた場合、それら
保証会社の保証する免税債も、保証の確度が低下する為、理論的には価値が低下する。しかし、これら免税債は、発行体が格付け機関に料金を支払い、格付けし直しを要請しない限り、新格付けが判明せず、当然の帰結として価値評価も不透明となる。ただ漫然と価値が低下したとしか認識されない。困るのはこれら債券
を運用している投資顧問会社等である。資産価値減少を防ぐ為に、現物を売却するか、債券先物を売ってヘッジするしかないのである。実際、アムバック格下げの報を受け、大手投資顧問会社Franklin Resources(BEN)やEaton Vance(EV)の株価が急落している。

更に、米国のモノラインは、多くのヨーロッパ主要企業の社債の保証もしている
為、格下げにより、欧州主要企業社債が急落した。21日のクレジット・デフォル
トスワップ(CDS)市場では、欧州の社債保有リスクが過去最大となった。
ここに、ドイツの大手州立銀行ウエストLBの大幅赤字決算見通しが投資家の不安心理を増幅し、ヨーロッパ株は2001年9月の同時多発テロ以来の急落となった。
この負の連鎖が世界中を駆け巡り、今回の世界同時株安を招いたのだ。
従って、株式相場反騰の為には、モノライン救済が必須条件であった。


緊急利下げでも、リセッション回避は困難との見方が依然強かった。利下げの行
われた22日(火)の株式市場の反応を見てもしかり。米国株は前日比大幅マイナ
スで引けた。FOMCの緊急大幅利下げは、金融政策が後手に回っていることを示し
ていると受け止められたからだ。米国がリセッション入りすることを見越し、実
勢金利は既に急低下していた。実際、FFレート先物は、1月30日FOMC時での更
なる0.5%利下げ確率を100%織り込んでいる。

(そして遂にモノライン救済への動きが現れた)
23日午後、ニューヨーク州当局者と米銀が金融保証会社(モノライン)向けの資本増強をめぐり協議をしたとのニュースが流れた。これがきっかけでモノライン大手アムバック(ABK)、MBIA(MBI)等の株価が急騰するとともに、米国株全体が急反発した。アムバック株は一日で何と70%の上昇を遂げた。いよいよ信用収縮防止に向けた効果ある政策が出始めた。

最近、米国のメディアはこぞって日本の失われた10年を取り上げている。日本が不動産、株バブルの崩壊からデフレに陥った経緯を説明し、米国が同じ鉄を踏まない為の処方箋が紹介されている。処方箋とは、できるだけ速やかに金融機関の損失額を確定するとともに、公的資金注入も含め、政府が救済しなければ駄目だと言う論旨である。脱兎のような速さこそが勝負だと言うのだ。

今日のモノライン救済への動きについては、具体的内容は不明だが、信用収縮防止に向けての動きがスピーディーに出始めたと言う点で評価できる。実効性ある政策を迅速に実行することが命だからである。折しも、米国株は高値から20%程度の調整を終了している。これは、直近では98年のロシア危機、LTCM崩壊時以来である。米国株の値幅整理はほぼ終了したのではないか。底打ち宣言は時期尚早かもしれないが、株式市場には半年ほどの先行性がある。ましてや、これからも利下げが継続するとともに、景気対策も取られる。言ってみれば“株高政策敢行”の最中なのだ。勿論、今回の救済への動きが実を結ばず、再度売られる局面も想定できるが、その時は、市場が対策練り直しを催促することになる。いずれにしても、今回の底は、2点底、3点底形成の為の礎石になりうると見る。
posted by mori at 17:51| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

金融保証会社(モノライン)救済の動きは大きい

金融保証会社(モノライン)救済の動きは大きい

=米国株の値幅調整ほぼ終了=

1月23日

森  崇

1.日本の例を参考に、クイック・アクションが好感された
NY州当局者と米銀が金融保証会社(モノライン)向けの資本増強をめぐり協議をしたとのニュースから、モノライン大手アムバック(ABK)、MBIA(MBI)等を中心に引けにかけ急騰。以下のアムバックのチャートが示す通り、一日で70%の上昇を遂げた。

chart0801124_9.jpg

昨日も指摘した通り、債券保証会社(モノライン)救済策は非常に重要である。

モノラインが格下げになると、地方債から銀行株に至るまで幅広い市場に悪影響をもたらす。アムバック(ABK)、MBIA(MBI)、ファイナンシャル・ギャランティー・インシュアランス、セキュリティー・キャピタル・アシュアランス(SCA)など債券保証会社は、住宅ローン絡みの債券や地方自治体が発行する免税債の支払いも保証している。ただでさえ、今後の景気悪化で、税収減から、ほっておいてもこうした地方債の格付けは低下する運命にあるのに、保証機関本体までが格下げされてしまったら、ダブルパンチだ。おまけにこの地方債市場の規模は大きい。


地方自治体が発行する免税債(ミュニシパル・ボンド)は、発行体が、発行時に格付け機関に格付けを付与してもらうと同時に、金融保証会社に保証してもらうケースが一般的だ。ただし、問題は、金融保証会社が格下げされた場合、それら保証会社の保証する免税債も、保証の確度が低下する為、理論的には価値が低下する。しかし、これら免税債は、発行体が格付け機関に料金を支払い、格付けし直しを要請しない限り、新格付けが判明せず、当然の帰結として価値評価も不透明となる。ただ漫然と価値が低下したとしか認識されない。困るのはこれら債券を運用している投資顧問会社等である。資産価値減少を防ぐ為に、売却するしかないのである。従って、この市場を救う為にも、モノライン救済は必須になろう。株式相場反騰の為には、このような信用収縮防止に向けた具体的内容が盛り込まれる必要がある。


2.過剰流動性は株に向かわざるを得ない
来週にも見込まれる0.5%利下げは、インパクトになる。過剰流動性は、やはり株に向かわざるを得ない。ダウ指数、ナスダック指数、S&P500指数はほぼ20%調整を達成。


3.見通しが下方修正されたこともあり、本日主要企業の業績は予想を上回った。
本日発表になった主要企業の業績は予想を上回った。
コーチ(COH)、ファイザー(PFE)、アボット・ラボラトリーズ(ABT)、
ユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)、デルタ航空(DAL)、コノコ・フィリップス(COP)

結論
株は早く動く。今日のモノライン救済策の動きで十分である。市場は正常に向け軌道修正しつつあり、この動きにつくべき。引け後、グーグル(GOOG)はじめハイテク株も続伸商状となっている。
ADM、MONはじめ穀物関連、薬品、金鉱株等はここもとかなりの買いが入っており、
今後のアウトパフォームが見込める。


posted by mori at 08:32| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月23日

株式市場再騰の条件

株式市場再騰の条件

=増補版=

1月22日

森  崇

緊急利下げでも、リセッション回避は困難との見方が依然強かった。株式市場の
反応を見てもしかり。FOMCの緊急利下げは、金融政策がやや後手に回っているこ
とを示している。FFレート先物は、1月30日FOMC時での更なる0.5%利下げ確
率を70%以上織り込んでいる。ただし、ECB(利下げが近付いたが、まだ差し迫
ってはいない)も利下げに傾く可能性が出て来た。

利回り曲線を見ても、実勢金利はかなり低下しており(赤線が本日の水準)、FFレートの更なる引き下げ余地が残されている。

chart0801123_11.jpg

最大のポイントは住宅問題
最大の問題点は住宅市場にある。これは、利下げ継続で住宅需要者の購買を促す(販売業者の値下げ+利下げに連動して、住宅ローン金利が低下するから)ことで、ある程度は効果を発揮するだろうが、住宅市場は大量の在庫を抱えている。今年も変動金利型ローンの金利見直し(リセット)を多く控えている。
何よりも、住宅ローン債権をベースにした証券化商品類への不信感が強く、投資家のリスク許容度を再び高めるのは容易ではない。また、金融機関は財務内容が悪化しており、貸し渋りや、貸し剥がしが増え、信用市場の回復には困難を伴う。
住宅問題については、いくらFRBでも限界がある。


待たれる次の一手
ブッシュ大統領は18日、実質国内総生産(GDP)の1%もしくは最大1500億ドル規模の景気刺激策を発表。ポールソン財務長官によると、同策には低・中間所得者層への税還付や企業の減税が含まれていると言う。
また、景気刺激策については、「早急に策定する必要がある。そして即効性を持たせる必要がある。この機会を逃せば、失敗に終わる。また、米住宅市場は顕著な調整を経験しており、景気拡大は、ここ数週間、明確に鈍化している。住宅セクターでは、一段の政策が必要で、より広範な景気の短期的押し上げと同じくらい急を要する」と語っている。次にはここからどんな政策が出てくるかが重要だ。

具体的には、債券保証会社(モノライン)救済策、CDO等の買取り機関設置等が出てくれば市場は好感するだろう。とりわけモノラインは非常に重要である。

モノラインが格下げになると、地方債から銀行株に至るまで幅広い市場に悪影響をもたらす。アムバック(ABK)、MBIA(MBI)、ファイナンシャル・ギャランティー・インシュアランス、セキュリティー・キャピタル・アシュアランス(SCA)など債券保証会社は、住宅ローン絡みの債券や地方自治体が発行する免税債の支払いも保証している。ただでさえ、今後の景気悪化で、税収減から、ほっておいてもこうした地方債の格付けは低下する運命にあるのに、保証機関本体までが格下げされてしまったら、ダブルパンチだ。おまけにこの地方債市場の規模は大きい。

地方自治体が発行する免税債(ミュニシパル・ボンド)は、発行体が、発行時に格付け機関に格付けを付与してもらうと同時に、金融保証会社に保証してもらうケースが一般的だ。ただし、問題は、金融保証会社が格下げされた場合、それら
保証会社の保証する免税債も、保証の確度が低下する為、理論的には価値が低下する。しかし、これら免税債は、発行体が格付け機関に料金を支払い、格付けし直しを要請しない限り、新格付けが判明せず、当然の帰結として価値評価も不透明となる。ただ漫然と価値が低下したとしか認識されない。困るのはこれら債券
を運用している投資顧問会社等である。資産価値減少を防ぐ為に、売却するしかないのである。従って、この市場を救う為にも、モノライン救済は必須になろう。
株式相場反騰の為には、このような信用収縮防止に向けた具体的内容が盛り込まれる必要がある。

損失額が明確化した段階で、大幅に財務内容が悪化した金融機関への公的資金注入まで予想するが、これにはまだ時間がかかろう。


=以上=
posted by mori at 09:37| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月22日

アジア、ヨーロッパ株急落により注目される米国当局の出方

アジア、ヨーロッパ株急落により注目される米国当局の出方

1月21日

森  崇

アジア・オセアニア株式市場急落の主因
1.中国の4大国有商業銀行の一つ中国銀行が、サブプライム住宅ローン関連で巨額損失を計上する見通しだと、21日付の香港の英字紙サウスチャイナ・モーニングポストが報じた。

2.モルガン・スタンレーが、主要オーストラリア銀行の2008年通期ベースで
  の貸倒引当金計上額予想を、これまでより26%引き上げた。これを受け、オーストラリア最大のナショナル・オーストラリア銀行が、2.9%下落した他、どう第2位のコモンウェルス・バンク・オブ・オーストラリアも4.6%下落した。
  
ヨーロッパ株式市場急落
600銘柄で構成するダウ欧州株価指数は前週末比5.7%強下げ、2001年9月11
日の米同時多発テロ以後で最大の下落率となった。また、昨年6月1日に付け
た引け値ベース高値(400.31)から22.8%安と、弱気相場入りした。

(背景)
1.ブッシュ米大統領が発表した1500億ドル規模の景気刺激策では米国がリセッションを回避するのに力不足と見られた。

2.米アンバック・フィナンシャル・グループなど金融保証会社(モノライン)の格下げによって、これらの会社が保証する社債売りにつながるとの観測が広がった。実際、21日のクレジット・デフォルトスワップ(CDS)市場では、欧州の社債保有リスクが過去最大となった。

3.19日付のリーブル・ベルジックとのインタビューで、ECBの政策委員会メンバー、ベルギー中央銀行のクアデン総裁はユーロ圏のインフレ率は7−12 月(下期)に鈍化するとの見通しを示した。また、ECBの政策委員会メンバー、ウェリンク・オランダ中央銀行総裁は 20日、ユーロ圏の経済成長率がECB予想を下回る可能性があるとの見通しを示した。 これらを背景に
ECBが年内に利下げするとの観測の強まりを背景に、短期債への買いが膨らんだ。株式相場クラッシュによる質への逃避も、国債買いを助長した。

4.モルガン・スタンレーが、米リセッションと銀行による評価損積み増しを背景に、今年の欧州企業が02年以来で初めて減益となる可能性があるとコメントした。

5.ドイツの大手州立銀行であるウエストLBは21日、金融市場の混乱を受けて2007年12月期通期の税引き前損益が10億ユーロ(約1540億円)程度の赤字になる見通しだと発表。従来数億ユーロ程度と見込んでいた。サブプライム住宅ローン問題に絡んで投資資産価値が下落。大株主であるノルトライン・ウェストファーレン州政府や地元の貯蓄銀行グループは、増資引き受けなどで同行を金融支援することで合意。


注目される米当局の出方
「本日の世界同時株安は、米政権の景気刺激策が不十分であることを示唆している(IMF専務理事)」。
明日、米国株は急落商状となろう。先週18日(金)時点で、ダウ指数は高値か
ら14.5%下落した水準である。弱気相場入りの基準は、引け値ベース高値から
20%以上下落することである。
ダウ指数は昨年10月9日につけた引け値ベース高値(14,164.53ドル)から20% 下落した水準は11,330ドル。これは1昨年6月から8月にかけもみ合ったレベルであり、以下のダウ指数1年間チャートの赤線レベルである。

(ダウ指数1年間チャート)
chart_20080121_1.jpg

株価が20%下落レベルを下回ることは、米国当局にとってプレッシャーとなろう。ではどう動くか?

予想されるのは、FRBによる緊急利下げ(0.75%)だろう。
この他、ブッシュ政権が18日発表した景気拡大策(企業の税優遇措置や所得税優遇措置も含まれている。政府は、国民一人当たりに800ドル、1世帯に1600ドルの割戻金を支払うほか、企業投資を奨励するための税優遇措置などを含む)の中身具体化か。ただし、これだけではインパクトに欠けよう。これに、モノライン救済策や、CDO等の買取り機関設置等、信用収縮防止に向けた内容が盛り込まれる必要があろう。


=以上=
posted by mori at 09:49| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月21日

金融保証会社(モノライン)格下げの影響

金融保証会社(モノライン)格下げの影響

1月20日

森  崇


世界株式市場急落の背景
@米格付け会社フィッチ・レーティングスが18日、金融保証会社(モノライン)大手アムバック・ファイナンシャル・グループの保険部門であるアムバック・アシュアランスの保険会社財務格付け(IFS格付け)を「AA」とし、最高格付けの「AAA」から2段階引き下げた。

AS&Pは18日、CDOのリッジウェイ・コート・ファンディングIIに「デフォルト(債務不履行)事由」が発生したことを明らかにした。保有資産の価値目減りにより、優先債の保有者に全額が返済されない恐れが生じたという。S&Pは、リッジウェイの格付け「AAA」のCDO8億7600万ドル(約935 億円)相当の格付けを引き下げる可能性がある。アムバックはリッジウェイのCDOの最高格付け部分に対し保証を提供している。目論見書によると、リッジウェイのCDOはシティグループが引き受け、クレディ・スイス・グループが管理している。

波及効果
債券保証会社が格下げになると、地方債から銀行株に至るまで幅広い市場に悪影響をもたらす。アムバック(ABK)、MBIA(MBI)、ファイナンシャル・ギャランティー・インシュアランス、セキュリティー・キャピタル・アシュアランス(SCA)など債券保証会社は、住宅ローン絡みの債券や地方自治体が発行する免税債の支払いを保証している。これら保証会社が格下げされた場合、保証する債券の価値は減少し、投資家に大きな損失をもたらす可能性がある。以下が債権保証大手セキュリティー・キャピタル・アシュアランス(SCA)の1年間チャートである。

chart_20080121.jpg

保険会社
また、保険会社の中にはモノラインの保険を引き受けているところもあり、証券化商品のデフォルトが生じた場合には保険金の支払いに応じる必要が出てくるからだ。以下が保険最大手AIG(AIG)の1年間チャートである。

chart_20080121_2.jpg


地方自治体が発行する免税債中心に運用する投資顧問会社
地方自治体が発行する免税債(ミュニシパル・ボンド)は、発行体が、発行時に格付け機関に格付けを付与してもらうと同時に、金融保証会社に保証してもらうケースが一般的だ。ただし、問題は、金融保証会社が格下げされた場合、それら
保証会社の保証する免税債も、保証の確度が低下する為、理論的には価値が低下する。しかし、これら免税債は、発行体が格付け機関に料金を支払い、格付けし直しを要請しない限り、新格付けが判明せず、当然の帰結として価値評価も不透明となる。ただ漫然と価値が低下したとしか認識されない。困るのはこれら債券類を大量に購入に、運用している投資顧問会社である。これら投資顧問会社の代表が、Franklin Resources(BEN)、Eaton Vance(EV)である。

(Franklin Resources(BEN)の1年間チャート)
chart_20080121_3.jpg

(Eaton Vance(EV)の1年間チャート)
chart_20080121_4.jpg


考えうる対策
信用収縮に歯止めをかけることを第一義とし、政府はFRBと協力しCDO等の買取り機関を設置するか、サブプライム関連の損失額が明確化した段階で、金融機関に対する資本注入に向けた行動を取ることが必要である。要は、今回の諸問題の元凶が、サブプライム住宅ローン問題にあるとの認識に立ち、その病巣を直接攻撃する手段が必要である。

ブッシュ政権が18日発表した約1400億ドル規模の景気拡大策(企業の税優遇措置や所得税優遇措置も含まれている。政府は、国民一人当たりに800ドル、1世帯に1600ドルの割戻金を支払うほか、企業投資を奨励するための税優遇措置などを含む)では実効性が薄い。

posted by mori at 18:41| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月11日

今日、米国株は一応反発した。しかし、まずい雰囲気だ。

独白

1月10日

森  崇

今日、米国株は一応反発した。しかし、まずい雰囲気だ。不良債権が住宅ローンだけでなく、カードローンや、自動車ローンにも波及し始めたのだ。政府の対応策は未だ不十分だし、利下げだけでは対応できないからだ。

本日の金融株をめぐる悪材料

クレジットカード
キャピタル・ワン・ファイナンシャル (COF) 
クレジットカード大手が業績への警告。2007年通期ベース利益が従来見通しを約20%下回ると言う。同社は自動車ローンの組成も行っており、住宅ローン問題が他の種類のローンにも波及してきていることを示している。

(背景)
★景気減速と、ローン支払いの延滞で不良債権が増大。

  
     
アメックス(AXP)、マスターカード(MA)株も安い。

金融
シティグループ(C)・メリル・リンチ(MER)
海外政府系ファンドより再度の資本注入を受ける交渉をしているとWSJが報じた。来週の決算発表前に契約を結びたい意向。メリルリンチは中東政府系投資ファンドから30〜40億ドルを、シティは外国政府から最大で100億ドルを調達する可能性があるという。

  

両社の他、モルガン・スタンレー(MS)とUBS(UBS)の4社は既に総額で270億ドルの出資を外国政府から受けており、今回の追加資本注入は、両社が財務基盤を安定させるために早急に資本増強をしようとしていることの表れ。


フレディー・マック(FRE)
ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、米住宅抵当金融大手フレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)の銀行財務格付け「A−」を引き下げ方向で見直すと発表した。フレディマックの損失が当初見通しより拡大する恐れがあるためという。


モルガンスタンレー(MS)やメリルリンチ(MER)
ゴールドマンサックスは米大手投資銀行各社の目標株価を引き下げた。景気減速が利益成長を抑制し、また、信用市場の更なる悪化でCDOなどのハイリスク資産で評価損を計上する可能性があると指摘した。

ノーザンロック
英政府は中堅銀行ノーザンロックの売却先に、政府系投資ファンドも対象にする余地があるとの考えを表明した。これも、英国内金融機関の体力弱体化を示している。

MBIA(MBI)
米金融保証会社大手のMBIAに悪材料。ヘッジファンド、パージング・スクウェア・キャピタル・マネージメントのアックマン氏がネガティブ・コメント。
MBIAは100億ドルの資金調達が必要になるだろう。このままだと、年末までに資金不足に陥る可能性があると言う。

アメックス(AXP)
引け後、アメックス(AXP)が業績への警告。第1四半期一株当たり利益は、継続ベースで90セント未満の見通しを提示、また、第4四半期決算で4.4億ドルの費用を計上したと発表。引け後のOTC取引で本日の引け値比3ドル以上下落している(NY時間午後5時現在)。

  

今回のシティ・グループ、メリル・リンチによる追加資本注入の動きは、両社が財務基盤を安定させるために早急に資本増強をしようとしていることの表れ。来週の決算発表では住宅ローン関連投資の損失拡大により、両社の損失は合わせて最大で250億ドルに達すると見られており、決算前に資本増強の話をまとめたい考えだろう。それほど業績悪化が予想され、株価急落の予防措置とも考えられる。

相場展望
銀行、証券会社の多くが、未だ資本増強への対応を練っているし、米住宅金融のファニーメイ(米連邦住宅抵当金庫)やフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)も損失額が更に増大する見通しである。各社とも、米国内の金融機関が痛んでいる為、外国の政府系ファンド(SWF)等に頼らざるを得ない状況。

今後住宅ローン大手に破綻するところが出てくるだろう。カントリーワイド買収の話は、バンカメのバランス・シートを悪化させるだけだ。一方で、住宅金融大手のソーンバーグ・モーゲージ(TMA)が増資による資金調達(2億ドル規模)計画を発表し、株価は急落している。


(ソーンバーグの株価チャート)
chart_20080111.jpg


破綻がきっかけになり、政府も重い腰を上げるだろう。現在は、金融機関の損失額が未だ確定できない状況であるが、損失額が確定できた段階で、公的資金注入もありえよう。落しどころとしては、利下げ、税制・財政政策併用に、公的資金による資本注入だろう。今日のキャピタル・ワン・ファイナンシャルの業績への警告は、住宅ローン問題が、自動車やクレジットカード等、他のローンに波及してきていることを示している。また、本日引け後、同じクレジットカード大手アメックスも業績への警告を発した。カードローンの延滞増加に伴う引当金の計上などで、昨年10―12月期決算で4億4000万ドルの損失を出したと言う。住宅価格が下がった地域を中心に、家計の返済能力が低下した為らしい。

株はまだ下がる。金融株や小売り、ハイテク株を買ってはならない。

株式相場は、年の前半不振、後半反発と見る。ただし、3月までに底をつけるのではないか。

当面、物色先は、穀物関連(MON、POT、ADM、DE)原油掘削(RIG等)、電力株(PEG、FPL、FE等、有利子負債が多いので、利下げは業績に効果あり。また高配当が魅力)、飲料(BUD、KO、PEP)、ゲノム関連(HGSI、CRA、ABI等)、薬品(TEVA、GENZ、GILD)に向かおう。


=以上=
posted by mori at 12:35| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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