公定歩合の緊急引き下げと、ベアー・スターンズの買収について
3月16日
森 崇
FRBが緊急公定歩合引き下げ
★公定歩合(民間金融機関に資金を貸し出す際の金利)を緊急に0.25%引き下げ年3.25%とすることを全会一致で決定し即日実施。
★証券化商品市場へ資金供給を増やす新制度創設。
★JPモルガン・チェースが同日買収を発表した証券大手ベアー・スターンズに対して最大300億ドルを緊急融資することを決定。
JPモルガン・チェースが16日、証券大手ベアー・スターンズの買収を発表
(合意内容)
★買収価格は約2億7000万ドル。ベアー・スターンズの買収価格は1株当たり2ドルと、14日(金)の引け値(30ドル)の15分の1だった。
★FRBはベアー・スターンズの流動性の比較的小さい資産最大300億ドル相当の支援も発表。
★ベアー・スターンズのシュワルツCEOは、顧客が先週2日間で170億ドルの資金を引き揚げ、債権者がローンの更新を停止する等、実質的に経営破たんしていたことを認めた。
★株式交換方式となり、ベアーの株式1株と、JPモルガンの普通株式0.05473株が交換される。
★JPモルガンは即日付でベアーおよび同社子会社のトレーディング債務を保証し、業務に対する経営監督を提供。買収案は、株主の承認を得ること以外、大した付帯条項はついておらず、4−6月期末までの完了を見込んでいる
★ムーディーズはJPモルガンの格付けを維持した。
市場関係者の見方
(ブラインダー元FRB副議長)
当局が金融システムに資金を供給したところで、直面する問題に効果を示しておらず、金融混乱は更に悪化している。なぜなら、住宅価格下落に歯止めがかからず、金融機関の貸倒が増大し、貸し渋り状況が改善されていないからだ。
(ハーバード大教授のサマーズ元財務長官)
3つの悪循環が景気を悪化させるリスクを懸念。
★消費抑制→企業業績悪化→失業→更なる消費抑制。
★株や債券相場の下落→金融機関が借り手に追加担保を要求→借り手が資産を投げ売りして更に相場を下げる→金融機関が更に貸し渋る。
(債券ファンド最大手、米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のファンドマネジャー、ポール・マカリー氏)
必要なのは、不動産デフレを止めることに焦点を当てた財政当局からの支援だ。
政府は住宅ローンを買い取るべきだ。
私見
ベアー・スターンズの買収価格2ドルは、実質的に経営破たんした価格である。
顧客が先週2日間で170億ドルの資金を引き揚げ、債権者がローンの更新を停止したことが背景と言うが、一旦危ないとなると、取り付け騒ぎ同然の状態になると言うことを示している。また、英紙サンデー・テレグラフが、今週ゴールドマン・ザックスが30億ドルの評価損を発表する見通しと伝えた。ただし、FRBが直接ベアー・スターンズに最大300億ドルを緊急融資することを決定したことは評価できる。ただし、市場は更なるベアー・スターンズを探す“魔女探し”を始めるだろう。その時、このような個別の場当たり的な対処法で大丈夫だろうか。バーナンキ議長も、金融機関に住宅ローンの元本削減を求めるなど、FRBに限界があることを暗に認めている。何よりも、金融市場、信用市場の安定化に向け、FRBの信頼感失墜につながらないことを祈るのみだ。これまでのところ市場の反応はネガティブだ。具体的な処方箋としては、以下が考えられる。
政府機関が住宅ローン担保証券等の妥当値を決める。これにより金融機関の損失が確定(追加損失計上の不安が沈静化する)する。次にこれを買い取るようにすれば、金融機関の資本増強も進めやすくなる。何よりも、金融機関の流動性が高まり、貸し渋り解消にもつながり、利下げ効果も顕著に表れることになろう。
=以上=
2008年03月17日
2008年03月13日
米国株相場を見る上での当面の注目点
米国株相場を見る上での当面の注目点
3月12日
森 崇
以下のチャートをご覧いただきたい。青線はダウ指数、赤線は3ヶ月ものTビルの利回りである。ほとんどパラレルに動いている。

昨年の7月にTビルの利回りが急低下しているが、これがサブプライム危機第一弾である。一旦利回りは上昇するが、9月頃から傾向的に低下している。株もやはり7月急落するが、良く戻し、9月は7月高値を上回った。9月まではサブプライム問題を過小評価していたからに他ならない。ところが、9月以降は、Tビルの利回りが低下するのに歩調を合わせ(振幅は大きいが)、一環して下落傾向を続けている。Tビルは、短期の資金需要を計るバロメータであり、信用収縮の度合いを示している。サブプライム問題が他の証券化商品に波及するとともに、安全度の高い国債、しかも金融政策の対象となるFFレートとの連動性の高い短期のTビルが急速に買われた。株とTビル利回りとの相関度が高まったと言う事実は、取りも直さず、株式相場のシステミック・リスクが信用市場の安定度に極度に依存していることを示す。
特に最近は、Tビルの利回り低下が著しい。ヘッジファンドが、金融機関からの追加担保差入れ要求を受け、手持ちの資産を強引に売却してこれに充当していることの影響が大きい。原油は唯一6日連騰となったが、貴金属や穀物価格はこのところ下落していた。これも、流動性確保の目的で売却の対象になった結果である。
今日は以下の背景で株式相場は下落した。
@メリルリンチやゴールドマン・サックス・グループなど複数の証
券会社は、FRBが11日に打ち出した米国債貸与措置が信用市場の資
金圧力緩和につながらないとの見方を示した。
AGOキャピタル・アセット・マネジメントは傘下ヘッジファンド
の顧客による資金引き出しを一時的に停止した。
B米投資会社ドレイク・マネジメントは傘下最大のヘッジファンド
の閉鎖を検討していることを明らかにした。
やはり信用市場に関する悪材料が背景だ。以下は、Tビル(3ヶ月もの)の利回りチャートである。このチャートが下落し続ける限り株の反発は困難だ。

特に、ドル資金の大量供給から、インフレが想起され、ドルが対ユーロで最安値を更新した。トリシェECB総裁や、ユーロ圏財務相会合の議長、ルクセンブルクのユンケル首相兼財務相の「為替市場での過剰な値動きを懸念している」との発言も効果がなかった。また、原油、貴金属等が軒並み大幅反発を開始した。
昨日のFRBの信用危機対策は、信用市場不安緩和には有用だが、抜本的解決にはつながらない。この点を市場は見透かしている。
担保価値の高い国債を借りられるが、永久ではない。いずれ返さねばならない。AAA格以下のMBSや、その他証券化商品については、依然換金化が困難な状況である。
信用危機対策の画期的ポイントは、国債の貸与期間が現行の1日から28日に延長されること、国債貸与の担保として、その他AAA/Aaa格付けの住宅ローン証券(MBS)が認められたことに集約されたと言っていい。
また、信用市場危機に対し、金融当局が真剣に対処しようとしているとの意図も読み取れ、G10強調行動であるとの点も市場に安心感を与えるものだ。
証券化商品の換金化につながる次の一手を見守りたい。
=以上=
3月12日
森 崇
以下のチャートをご覧いただきたい。青線はダウ指数、赤線は3ヶ月ものTビルの利回りである。ほとんどパラレルに動いている。
昨年の7月にTビルの利回りが急低下しているが、これがサブプライム危機第一弾である。一旦利回りは上昇するが、9月頃から傾向的に低下している。株もやはり7月急落するが、良く戻し、9月は7月高値を上回った。9月まではサブプライム問題を過小評価していたからに他ならない。ところが、9月以降は、Tビルの利回りが低下するのに歩調を合わせ(振幅は大きいが)、一環して下落傾向を続けている。Tビルは、短期の資金需要を計るバロメータであり、信用収縮の度合いを示している。サブプライム問題が他の証券化商品に波及するとともに、安全度の高い国債、しかも金融政策の対象となるFFレートとの連動性の高い短期のTビルが急速に買われた。株とTビル利回りとの相関度が高まったと言う事実は、取りも直さず、株式相場のシステミック・リスクが信用市場の安定度に極度に依存していることを示す。
特に最近は、Tビルの利回り低下が著しい。ヘッジファンドが、金融機関からの追加担保差入れ要求を受け、手持ちの資産を強引に売却してこれに充当していることの影響が大きい。原油は唯一6日連騰となったが、貴金属や穀物価格はこのところ下落していた。これも、流動性確保の目的で売却の対象になった結果である。
今日は以下の背景で株式相場は下落した。
@メリルリンチやゴールドマン・サックス・グループなど複数の証
券会社は、FRBが11日に打ち出した米国債貸与措置が信用市場の資
金圧力緩和につながらないとの見方を示した。
AGOキャピタル・アセット・マネジメントは傘下ヘッジファンド
の顧客による資金引き出しを一時的に停止した。
B米投資会社ドレイク・マネジメントは傘下最大のヘッジファンド
の閉鎖を検討していることを明らかにした。
やはり信用市場に関する悪材料が背景だ。以下は、Tビル(3ヶ月もの)の利回りチャートである。このチャートが下落し続ける限り株の反発は困難だ。
特に、ドル資金の大量供給から、インフレが想起され、ドルが対ユーロで最安値を更新した。トリシェECB総裁や、ユーロ圏財務相会合の議長、ルクセンブルクのユンケル首相兼財務相の「為替市場での過剰な値動きを懸念している」との発言も効果がなかった。また、原油、貴金属等が軒並み大幅反発を開始した。
昨日のFRBの信用危機対策は、信用市場不安緩和には有用だが、抜本的解決にはつながらない。この点を市場は見透かしている。
担保価値の高い国債を借りられるが、永久ではない。いずれ返さねばならない。AAA格以下のMBSや、その他証券化商品については、依然換金化が困難な状況である。
信用危機対策の画期的ポイントは、国債の貸与期間が現行の1日から28日に延長されること、国債貸与の担保として、その他AAA/Aaa格付けの住宅ローン証券(MBS)が認められたことに集約されたと言っていい。
また、信用市場危機に対し、金融当局が真剣に対処しようとしているとの意図も読み取れ、G10強調行動であるとの点も市場に安心感を与えるものだ。
証券化商品の換金化につながる次の一手を見守りたい。
=以上=
2008年03月07日
公的資金投入を催促する相場に入った
公的資金投入を催促する相場に入った
3月6日
森 崇
(金融機関の自助努力によるサブプライム問題解決は困難に)
昨日のモノライン、アムバックの救済策はまさに失望的内容だった。金融機関の体力低下を示唆するとともに、日を追って、悪材料が増えている。昨日から、今日にかけて以下の通り悪材料が出ている。
1.カーライル・キャピタルにデフォルト通知
プライベートエクイティ投資会社カーライル・グループ傘下のクレジットファンド、カーライル・キャピタルは6日、デフォルト通知を受領。5日の担保差し入れ要請に応じられなかったという。
2.ソーンバーグ・モーゲージにJPモルガン・チェースからデフォルト通知
米住宅ローン会社のソーンバーグ・モーゲージは5日までに、JPモルガン・チェースからデフォルト通知を受領。3億2000万ドルの融資関連で2800万ドル相当の追加担保差し入れに同社が応じられなかったことが背景。同社は他の契約でもデフォルトが発生していると言う。
(ソーンバーグ(TMA)の1年間チャート)

3.UBSのローン資産投売り観測
JPモルガン・チェースは6日、スイスのUBSが保有するプライムAlt−Aローン資産、250億スイス・フラン(約2兆5000億円)相当を投げ売りした可能性が高いとして、UBSの評価損見積もりを185億フランに引き上げた。
UBSはバランスシート整理の為、仕組み信用商品の保有を積極的に減らす方針のもよう。JPは同時に、UBSの目標株価を56フランから55フランに引き下げた。また、今年無配転落を予想。
4.アムバックの普通株発行計画は失望的内容。
アムバック・ファイナンシャル・グループは5日、発行済み株式とほぼ同数の10億ドル相当の普通株と、2011 年に株式に転換されるエクイティユニット5億ドル相当を発行する資本増強計画を明らかにした。
(失望点)
@増資額が当初の予想(30億ドル)の半分しかなく、AAA格維持はいずれ困難に。
A今回の資本調達が、銀行団や、取引先からの出資ではなく、普通株の発行であり、既存株の価値の希薄化につながる。
Bクレディ・スイス・グループとシティグループ、バンク・オブ・アメリカ、UBSが引き受ける普通株の発行は、米東部時間6日夜に実施される予定だが、幹事の保証が付いておらず、計画通りの額を調達できるかどうか未定。
(アムバック(ABK)の1年間チャート)

5.ワシントン・ミューチャル(WM)
S&Pが同社の信用格付けをBBB+からBBBに引き下げた。同社株はこれで
7日連続安。
(ワシントン・ミューチャル(WM)の1年間チャート)

6.フレディマック(FRE)とファニーメイ(FNM)
米財務省は6日、住宅金融大手のフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)とファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)が発行する住宅ローン担保証券(MBS)を政府が保証するとの憶測を否定した。2社とも株価は新安値を切り下げている。
私見
問題は、証券化商品の換金化が困難に陥っており、金融機関の手元流動性が低下
していることにある。これが、貸し渋り、貸し剥がしにつながっている。UBSに
いたっては、既成の秩序ある銀行システム内売却をあきらめ、投売りに向かった。
このままだと株式は下離れの動きとなるだろう。今日はシティ・グループ(C)やメリル・リンチ(MER)等の株価が安値を切り下げた。
株安→投資家のヘッジファンド解約→手元流動性が低下して、資金繰り困難に陥ったものが破綻→銀行貸し倒れ増加→金融機関に対する格付け機関による格下げや、ブローカーによる投資判断の引き下げ続出となり、政府の介入(公的資金投入)なしには収拾つかない状況となろう。
昨日、ロイター通信の電子版が「米下院民主党は質の悪化した住宅ローンを政府が買い取る案を協議している」と報じた。これを受け、日本では保険や金融株などが買われた。従って、水面下で話し合いは進んでいると見られる。
また、ボストン連銀のローゼングレン総裁は、6日、複雑な証券化商品を分割し、その中から標準化できるものを束ね、取引所取引で売買可能にするとの提案を行っている。
現在のサブプライム問題を、腫瘍を持った患者に例えるなら、利下げや戻し税を中心とする景気対策は、単に栄養剤を大量に投与するような的外れな政策である。
病巣にメスをあて、腫瘍削除手術を施す根治療法こそ、質の悪化した住宅ローンを政府機関が買い上げる政策である。事態が相当悪化しない限り政府は重い腰を上げないだろうが、相場はこれを催促するフェーズに入った。
=以上=
3月6日
森 崇
(金融機関の自助努力によるサブプライム問題解決は困難に)
昨日のモノライン、アムバックの救済策はまさに失望的内容だった。金融機関の体力低下を示唆するとともに、日を追って、悪材料が増えている。昨日から、今日にかけて以下の通り悪材料が出ている。
1.カーライル・キャピタルにデフォルト通知
プライベートエクイティ投資会社カーライル・グループ傘下のクレジットファンド、カーライル・キャピタルは6日、デフォルト通知を受領。5日の担保差し入れ要請に応じられなかったという。
2.ソーンバーグ・モーゲージにJPモルガン・チェースからデフォルト通知
米住宅ローン会社のソーンバーグ・モーゲージは5日までに、JPモルガン・チェースからデフォルト通知を受領。3億2000万ドルの融資関連で2800万ドル相当の追加担保差し入れに同社が応じられなかったことが背景。同社は他の契約でもデフォルトが発生していると言う。
(ソーンバーグ(TMA)の1年間チャート)

3.UBSのローン資産投売り観測
JPモルガン・チェースは6日、スイスのUBSが保有するプライムAlt−Aローン資産、250億スイス・フラン(約2兆5000億円)相当を投げ売りした可能性が高いとして、UBSの評価損見積もりを185億フランに引き上げた。
UBSはバランスシート整理の為、仕組み信用商品の保有を積極的に減らす方針のもよう。JPは同時に、UBSの目標株価を56フランから55フランに引き下げた。また、今年無配転落を予想。
4.アムバックの普通株発行計画は失望的内容。
アムバック・ファイナンシャル・グループは5日、発行済み株式とほぼ同数の10億ドル相当の普通株と、2011 年に株式に転換されるエクイティユニット5億ドル相当を発行する資本増強計画を明らかにした。
(失望点)
@増資額が当初の予想(30億ドル)の半分しかなく、AAA格維持はいずれ困難に。
A今回の資本調達が、銀行団や、取引先からの出資ではなく、普通株の発行であり、既存株の価値の希薄化につながる。
Bクレディ・スイス・グループとシティグループ、バンク・オブ・アメリカ、UBSが引き受ける普通株の発行は、米東部時間6日夜に実施される予定だが、幹事の保証が付いておらず、計画通りの額を調達できるかどうか未定。
(アムバック(ABK)の1年間チャート)

5.ワシントン・ミューチャル(WM)
S&Pが同社の信用格付けをBBB+からBBBに引き下げた。同社株はこれで
7日連続安。
(ワシントン・ミューチャル(WM)の1年間チャート)

6.フレディマック(FRE)とファニーメイ(FNM)
米財務省は6日、住宅金融大手のフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)とファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)が発行する住宅ローン担保証券(MBS)を政府が保証するとの憶測を否定した。2社とも株価は新安値を切り下げている。
私見
問題は、証券化商品の換金化が困難に陥っており、金融機関の手元流動性が低下
していることにある。これが、貸し渋り、貸し剥がしにつながっている。UBSに
いたっては、既成の秩序ある銀行システム内売却をあきらめ、投売りに向かった。
このままだと株式は下離れの動きとなるだろう。今日はシティ・グループ(C)やメリル・リンチ(MER)等の株価が安値を切り下げた。
株安→投資家のヘッジファンド解約→手元流動性が低下して、資金繰り困難に陥ったものが破綻→銀行貸し倒れ増加→金融機関に対する格付け機関による格下げや、ブローカーによる投資判断の引き下げ続出となり、政府の介入(公的資金投入)なしには収拾つかない状況となろう。
昨日、ロイター通信の電子版が「米下院民主党は質の悪化した住宅ローンを政府が買い取る案を協議している」と報じた。これを受け、日本では保険や金融株などが買われた。従って、水面下で話し合いは進んでいると見られる。
また、ボストン連銀のローゼングレン総裁は、6日、複雑な証券化商品を分割し、その中から標準化できるものを束ね、取引所取引で売買可能にするとの提案を行っている。
現在のサブプライム問題を、腫瘍を持った患者に例えるなら、利下げや戻し税を中心とする景気対策は、単に栄養剤を大量に投与するような的外れな政策である。
病巣にメスをあて、腫瘍削除手術を施す根治療法こそ、質の悪化した住宅ローンを政府機関が買い上げる政策である。事態が相当悪化しない限り政府は重い腰を上げないだろうが、相場はこれを催促するフェーズに入った。
=以上=
2008年03月05日
悲観の中にも、好条件が胎動している
悲観の中にも、好条件が胎動している
3月4日
森 崇
最近、株式相場の下げ渋り傾向が顕著になっている。実際、ネガティブ・キャンペーン中にも、好条件が胎動している。
1.イールドカーブのスティープニング化は銀行に有利
米国の金融緩和はイールドカーブを著しくスティープ化させた。イールドカーブがスティープ化すれば金融機関は預金金利と貸出金利の利ザヤが拡大し、収益性が回復する。以下は2年ものと10年もの金利の差(黄線)である。これがどんどん拡大している状況が見て取れる。

2.LIBOR3ヶ月ものは着実に低下し、アメリカ・プレミアムも剥落した
現在、ほとんどの銀行の法人向け融資金利を決定するのがロンドン銀行間取引金利(LIBOR)である。この3カ月物が約3%で、FRBが3月18日に金利を0.5%引き下げれば更に低下するだろう。そうなれば、企業の借り入れコストは06年7月のピークの5.49%からほぼ半減することになる。これは企業にとって有利な状況。

3.FFレート3%は実質金利0%の状態
3月18日にFFレートが0.5%引き下げられ、2.5%になれば、実質金利は0%(コアCPIは2.5%である)となる。バーナンキFRB議長は、この状態を長く据え置くことに否定的である。以下のグラフからスタグフレーションが顕在化した80年時を見ていただくと分かるように、金融市場の落ち着きは早く、すぐに利上げに入った。今回とよく似た2003年イラク戦争前でも、FFレートは6%強から、開戦後には1%まで下げられた。しかし、株式相場はFFレートが底打ちするはるか前の2003年初頭に底打ちしている。当時は、ITバブル崩壊から、株式相場より、不動産市場に資金が流入してバブルを形成した。今回は、何がバブルのか?当面商品市場に資金が流入しているが、もし、マクロ経済指標が回復を始めれば、株式にも流入するだろう。債券はパンパン買われてしまっており、不動産も傷口は大きい。消去法から株式しかない。

以上が最近の株式相場下げ渋りの背景として指摘できるだろう。
=以上=
3月4日
森 崇
最近、株式相場の下げ渋り傾向が顕著になっている。実際、ネガティブ・キャンペーン中にも、好条件が胎動している。
1.イールドカーブのスティープニング化は銀行に有利
米国の金融緩和はイールドカーブを著しくスティープ化させた。イールドカーブがスティープ化すれば金融機関は預金金利と貸出金利の利ザヤが拡大し、収益性が回復する。以下は2年ものと10年もの金利の差(黄線)である。これがどんどん拡大している状況が見て取れる。
2.LIBOR3ヶ月ものは着実に低下し、アメリカ・プレミアムも剥落した
現在、ほとんどの銀行の法人向け融資金利を決定するのがロンドン銀行間取引金利(LIBOR)である。この3カ月物が約3%で、FRBが3月18日に金利を0.5%引き下げれば更に低下するだろう。そうなれば、企業の借り入れコストは06年7月のピークの5.49%からほぼ半減することになる。これは企業にとって有利な状況。
3.FFレート3%は実質金利0%の状態
3月18日にFFレートが0.5%引き下げられ、2.5%になれば、実質金利は0%(コアCPIは2.5%である)となる。バーナンキFRB議長は、この状態を長く据え置くことに否定的である。以下のグラフからスタグフレーションが顕在化した80年時を見ていただくと分かるように、金融市場の落ち着きは早く、すぐに利上げに入った。今回とよく似た2003年イラク戦争前でも、FFレートは6%強から、開戦後には1%まで下げられた。しかし、株式相場はFFレートが底打ちするはるか前の2003年初頭に底打ちしている。当時は、ITバブル崩壊から、株式相場より、不動産市場に資金が流入してバブルを形成した。今回は、何がバブルのか?当面商品市場に資金が流入しているが、もし、マクロ経済指標が回復を始めれば、株式にも流入するだろう。債券はパンパン買われてしまっており、不動産も傷口は大きい。消去法から株式しかない。
以上が最近の株式相場下げ渋りの背景として指摘できるだろう。
=以上=
2008年02月05日
ヤフー買収劇がどう着地しようとグーグルの優位性は不変
ヤフー買収劇がどう着地しようとグーグルの優位性は不変
2月4日
森 崇
マイクロソフトの立場
向こう10年の間に、オフライン広告はすべてオンラインになる。オンライン広告は大きく成長する。少なくとも広告プラットフォームの面では、この市場には今のリーダー(Google)と競うだけの価値がある。技術面でヤフーを強化でき、ヤフーは広告・ブランド力で貢献できる。買収による相乗効果は十分ある。
ヤフーの立場
ヤフーにはベンチャー気質が生きている。しかし、マイクロソフトは大企業で、官僚的。両社の社風が大きく違い、AOL・タイムワーナーの失敗を想起させる。シリコンバレー気質としてシアトルのマイクロソフトに買収されることは苦痛であり、買収が成立すればヤフーが抱える優秀な人材の流出は避けられないだろう。
ヤフーの株主は買収を歓迎するが、経営側は態度を留保している。本音は、おそらく買収価格の低さと、社風の相違から、買収には反対だろう。
グーグルは買収に反対するが、その言い分
両社が合併すれば、コンシューマーが競合企業の電子メール、IM、Webベースのサービスを自由に利用できないよう、PCソフトウェアにおける独占を利用して不当な制限を加えることができる。これはマイクロソフトの常套手段である。
もし、買収が成立したとして、グーグルをキャッチアップできるか?
一番重要な検索技術や検索連動広告関連システムにおいて、マイクロソフトはグーグルにキャッチアップできていない。ヤフーを買収しても、この差は縮まらないだろう。デスクトップ関連ソフトや、携帯OS分野ではマイクロソフトがリードしているが。
買収は独禁法に抵触するか?
独禁法専門家はネット検索と広告市場はグーグルの独占状態にあることから、当局が待ったをかけることはないだろうとしている。インターネット調査会社comScoreの統計によると、Googleは世界Web検索市場で77%のシェアを握り、2位で16%のYahoo!を大きく引き離している。Microsoftは大きく離され、3.7%にとどまっている。
今後予想される展開
マイクロソフトは、敵対的買収を厭わない姿勢だが、ヤフーは、マイクロソフト以外の買収企業を探すだろう。もしマイクロソフトが強硬に推進する場合は、ヤフーがポイズン・ピル(毒薬条項)などの買収防止策を展開する可能性あり。
ここに、ファンドや、AT&TやCATV最大手のコムキャストなどが、買収に割り込み、ハイテク大手による買収合戦に発展する可能性あり。いずれにせよ、マイクロソフト以外の相手に買収されることになりそう。
2月4日グーグル株が急落した背景
ゴールドマン・ザックスが、アメリカン・コンビクション・バイリストからグーグルを除外したから。予想に届かなかった決算発表がきっかけとなり、グーグル株の直近の低調なパフォーマンスが除外の背景。ただし、投資判断は“買い”のまま据え置かれ、目標株価も700ドルのままである。2012年まで、20%程度の増収増益率を維持していく見通しは変わらないとしている。
私見
ヤフーをマイクロソフトが買収できたところで、グーグルの検索連動広告関連システムの牙城は崩せない。技術力が圧倒的にグーグルの方が高いことに加え、
グーグルの技術は刻々と自己増殖しているからだ。また、今回こそ、四半期決算が予想を下回ったが、それでもグーグルゆえの期待先行がもたらしたものだ。前年同期比51%増収など達成できる企業は、グーグル以外には考えられない。

=以上=
2月4日
森 崇
マイクロソフトの立場
向こう10年の間に、オフライン広告はすべてオンラインになる。オンライン広告は大きく成長する。少なくとも広告プラットフォームの面では、この市場には今のリーダー(Google)と競うだけの価値がある。技術面でヤフーを強化でき、ヤフーは広告・ブランド力で貢献できる。買収による相乗効果は十分ある。
ヤフーの立場
ヤフーにはベンチャー気質が生きている。しかし、マイクロソフトは大企業で、官僚的。両社の社風が大きく違い、AOL・タイムワーナーの失敗を想起させる。シリコンバレー気質としてシアトルのマイクロソフトに買収されることは苦痛であり、買収が成立すればヤフーが抱える優秀な人材の流出は避けられないだろう。
ヤフーの株主は買収を歓迎するが、経営側は態度を留保している。本音は、おそらく買収価格の低さと、社風の相違から、買収には反対だろう。
グーグルは買収に反対するが、その言い分
両社が合併すれば、コンシューマーが競合企業の電子メール、IM、Webベースのサービスを自由に利用できないよう、PCソフトウェアにおける独占を利用して不当な制限を加えることができる。これはマイクロソフトの常套手段である。
もし、買収が成立したとして、グーグルをキャッチアップできるか?
一番重要な検索技術や検索連動広告関連システムにおいて、マイクロソフトはグーグルにキャッチアップできていない。ヤフーを買収しても、この差は縮まらないだろう。デスクトップ関連ソフトや、携帯OS分野ではマイクロソフトがリードしているが。
買収は独禁法に抵触するか?
独禁法専門家はネット検索と広告市場はグーグルの独占状態にあることから、当局が待ったをかけることはないだろうとしている。インターネット調査会社comScoreの統計によると、Googleは世界Web検索市場で77%のシェアを握り、2位で16%のYahoo!を大きく引き離している。Microsoftは大きく離され、3.7%にとどまっている。
今後予想される展開
マイクロソフトは、敵対的買収を厭わない姿勢だが、ヤフーは、マイクロソフト以外の買収企業を探すだろう。もしマイクロソフトが強硬に推進する場合は、ヤフーがポイズン・ピル(毒薬条項)などの買収防止策を展開する可能性あり。
ここに、ファンドや、AT&TやCATV最大手のコムキャストなどが、買収に割り込み、ハイテク大手による買収合戦に発展する可能性あり。いずれにせよ、マイクロソフト以外の相手に買収されることになりそう。
2月4日グーグル株が急落した背景
ゴールドマン・ザックスが、アメリカン・コンビクション・バイリストからグーグルを除外したから。予想に届かなかった決算発表がきっかけとなり、グーグル株の直近の低調なパフォーマンスが除外の背景。ただし、投資判断は“買い”のまま据え置かれ、目標株価も700ドルのままである。2012年まで、20%程度の増収増益率を維持していく見通しは変わらないとしている。
私見
ヤフーをマイクロソフトが買収できたところで、グーグルの検索連動広告関連システムの牙城は崩せない。技術力が圧倒的にグーグルの方が高いことに加え、
グーグルの技術は刻々と自己増殖しているからだ。また、今回こそ、四半期決算が予想を下回ったが、それでもグーグルゆえの期待先行がもたらしたものだ。前年同期比51%増収など達成できる企業は、グーグル以外には考えられない。

=以上=
2008年02月04日
改善する米国株の各種指標
改善する米国株の各種指標
2月3日
森 崇
テーラー・レートを下回ったFF金利
FFレートは遂に3%まで引き下げられた。直近の経済指標から、コアCPI年率
2.4%、昨年第4四半期GDP成長率(暫定値)0.6%をもとに、テーラー・ルール
を用いて、FFレートの妥当値をはじいてみた。数値は3.45%となり、現行のFFレートは、これを下回る結果となった。以下のグラフの通りである。
(テーラー・ルールとは)
スタンフォード大経済学者のジョン・B・テーラーが1992年に提唱した、FFレートの適正金利を算出するルール。【FFレート=現実のインフレ率+中立実質金利2%+(現実のインフレ率−目的のインフレ率2%)÷2+(現実のGDP−潜在成長率2.9%)÷2】

FFレートが適正値を下回ったのは、信用収縮に対応する為の安全弁と考えられるが、いわゆるバブルが生じる起点ともなりうる。
前回2001年9月時点で、テーラー・ルールで算出したFFレートが2.8%位から反発する一方、実際のFFレートは逆に低下しているのが見て取れる。グリーン・スパン前FRB議長の失態を指摘する批判する向きが、良くこれを使っている。これが、余分な過剰流動性を生み、住宅バブルを生んだと言うのである。しかし、株式に、このスピルオーバー現象が表れ始めた。
改善する各種株価指標
1.短期ベア・トレンドを上抜いたダウ指数
以下は、ダウ指数のチャートである。指数は、短期のベア・トレンドを上抜いている。次の抵抗線は13,000ドル・レベルである。

2.ダウ構成銘柄30種中、10銘柄で、底値からほぼ20%以上株価が反発。
20%反発は、いわゆる底打ちとされる条件である。
ダウ指数の戻りが特に良い。これは、目下の物色トレンドが、大型株指向である為だ。リセッション懸念がある中、やはり寄らば大樹の陰で、大型株が物色人気になっている。また、以下の通り、問題業種だった銀行、小売りに
底打ち銘柄が続出しているのが分かる。
(ダウ指数構成銘柄中底値からほぼ20%以上反発した銘柄)

3.債券から株式へのシフトを示唆するグラフ
以下は4年強に及ぶナスダック指数チャートである。今回の急落でも
支持線は割らなかった。逆に、2,300を起点に反発し始めた。

以下は13週Tビル金利推移である。こちらは短期下降トレンドの下限に
到達したところである。

4.イールド・カーブの形状変化はリセッション回避を示唆
直近2週間で見ると、2年以上の債券の利回り曲線は順イールドで、長期債(10年、30年)の利回りは徐々に上げに転じ始めた。原油を初めとする商品相場の騰勢に歯止めがかかった現在、スタグフレーション・シナリオを外れ、期待インフレの高まりとともに、リセッション回避を示唆するものである。

5.モノライン救済に向け前進
直近の世界同時株安を招来した直接のきっかけは、金融保証会社(モノライン)の格下げである。しかるに、モノライン救済で前進が見られている。
@先々週は、著名投資家のウィルバー・ロス氏が金融保証会社アムバック・ファイナンシャル・グループを買収することで交渉していると英紙イブニング・スタンダードが24日報じている。
Aニューヨーク州エリック・ディナロ保険局長は、現在取りまとめ中の150億ドル規模の救済策は、モノラインがAAAの格付けを失う前に完了したい旨表明したが、NY州のスピッツァー知事は、救済計画が順調に進展している旨コメントした。CNBCは1日、金融保証会社(モノライン)救済を目指して銀行8行がコンソーシアム(企業連合)を結成したと報じている。
Bムーディーズは、モノライン各社の評価見直しを2月下旬までに終了する計画だと発表したが、各社とも、大幅に資本増強が成功すれば、格下げは回避できるのである。
CMBIA(MBI)は30日決算発表に際し、AAA格を維持できるとの自信を示した。以下がMBIAのCEO発言内容である。
「モノラインが保証する証券などの価値が下がることで業界は悪影響を受
けており、我々も危機を乗り切ることが必要である。しかし、その中でMBIAは非常に有利な立場にあると確信している。正直なところ、市場は過剰に反応しすぎているというのが我々の印象だ。また、その様な不安が同社の株価を1年で約80%下げた要因となっているだろう」
Dアムバック(ABK)に強材料
★シティグループがアムバック(ABK)の目標価格を7ドルから12ドルに引き上げた。アムバックが111億ドルにのぼる巨額な税前損失を計上したこと、及び、現在の株価が、見込損失を控除した一株当たり純資産価値(56$)の20%レベルに落ち込んでいる事実は、更に悪化する事態をも織り込んでいると言える。
★投信大手のパトナム・インベストメントが、直近アムバックの持ち株比率を6.6%に高めた。昨年9月30日現在で、パトナムは、同2.48%保有していた(当時1位はフィデリティーの9.99%で、パトナムは15位の大株主だった)。
6.買収案件や、企業分離・独立の動きが続出中。
特に、破綻が懸念されていた住宅金融最大手のカントリーワイド・フィナンシャルがバンカメに買収されたり、仏銀首位のBNPパリバが、第2位のソシエテ・ジェネラル買収を検討中とのニュースは朗報と言える。金融業界以外にも、先週だけで以下の案件が指摘できる。
@マイクロソフト(MSFT)
マイクロソフトは1日、ヤフーに446億ドルで買収を提案したと発表した。
更に敵対的買収に発展する可能性もある。
Aモトローラ(MOT)
携帯電話端末で米最大手のモトローラは、携帯電話部門の分離を検討する方針を明らかにした。
Bアルミ関連株
アルミ大手アルコアと中国最大のアルミニウムメーカー、チャイナルコが、豪鉱山会社BHPビリトンによる英豪系リオ・ティント買収の阻止を狙い、リオの株式を取得した。
CCMEグループ(CME)
世界最大の先物取引所、CMEグループは28日、NYMEXホールディングスの買収に向けて予備交渉に入った。
Dアルトリア・グループ(MO)
海外たばこ部門をフィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)として、3月28日にスピンオフ(分離・独立)すると発表した。
=以上=
2月3日
森 崇
テーラー・レートを下回ったFF金利
FFレートは遂に3%まで引き下げられた。直近の経済指標から、コアCPI年率
2.4%、昨年第4四半期GDP成長率(暫定値)0.6%をもとに、テーラー・ルール
を用いて、FFレートの妥当値をはじいてみた。数値は3.45%となり、現行のFFレートは、これを下回る結果となった。以下のグラフの通りである。
(テーラー・ルールとは)
スタンフォード大経済学者のジョン・B・テーラーが1992年に提唱した、FFレートの適正金利を算出するルール。【FFレート=現実のインフレ率+中立実質金利2%+(現実のインフレ率−目的のインフレ率2%)÷2+(現実のGDP−潜在成長率2.9%)÷2】

FFレートが適正値を下回ったのは、信用収縮に対応する為の安全弁と考えられるが、いわゆるバブルが生じる起点ともなりうる。
前回2001年9月時点で、テーラー・ルールで算出したFFレートが2.8%位から反発する一方、実際のFFレートは逆に低下しているのが見て取れる。グリーン・スパン前FRB議長の失態を指摘する批判する向きが、良くこれを使っている。これが、余分な過剰流動性を生み、住宅バブルを生んだと言うのである。しかし、株式に、このスピルオーバー現象が表れ始めた。
改善する各種株価指標
1.短期ベア・トレンドを上抜いたダウ指数
以下は、ダウ指数のチャートである。指数は、短期のベア・トレンドを上抜いている。次の抵抗線は13,000ドル・レベルである。

2.ダウ構成銘柄30種中、10銘柄で、底値からほぼ20%以上株価が反発。
20%反発は、いわゆる底打ちとされる条件である。
ダウ指数の戻りが特に良い。これは、目下の物色トレンドが、大型株指向である為だ。リセッション懸念がある中、やはり寄らば大樹の陰で、大型株が物色人気になっている。また、以下の通り、問題業種だった銀行、小売りに
底打ち銘柄が続出しているのが分かる。
(ダウ指数構成銘柄中底値からほぼ20%以上反発した銘柄)

3.債券から株式へのシフトを示唆するグラフ
以下は4年強に及ぶナスダック指数チャートである。今回の急落でも
支持線は割らなかった。逆に、2,300を起点に反発し始めた。

以下は13週Tビル金利推移である。こちらは短期下降トレンドの下限に
到達したところである。

4.イールド・カーブの形状変化はリセッション回避を示唆
直近2週間で見ると、2年以上の債券の利回り曲線は順イールドで、長期債(10年、30年)の利回りは徐々に上げに転じ始めた。原油を初めとする商品相場の騰勢に歯止めがかかった現在、スタグフレーション・シナリオを外れ、期待インフレの高まりとともに、リセッション回避を示唆するものである。

5.モノライン救済に向け前進
直近の世界同時株安を招来した直接のきっかけは、金融保証会社(モノライン)の格下げである。しかるに、モノライン救済で前進が見られている。
@先々週は、著名投資家のウィルバー・ロス氏が金融保証会社アムバック・ファイナンシャル・グループを買収することで交渉していると英紙イブニング・スタンダードが24日報じている。
Aニューヨーク州エリック・ディナロ保険局長は、現在取りまとめ中の150億ドル規模の救済策は、モノラインがAAAの格付けを失う前に完了したい旨表明したが、NY州のスピッツァー知事は、救済計画が順調に進展している旨コメントした。CNBCは1日、金融保証会社(モノライン)救済を目指して銀行8行がコンソーシアム(企業連合)を結成したと報じている。
Bムーディーズは、モノライン各社の評価見直しを2月下旬までに終了する計画だと発表したが、各社とも、大幅に資本増強が成功すれば、格下げは回避できるのである。
CMBIA(MBI)は30日決算発表に際し、AAA格を維持できるとの自信を示した。以下がMBIAのCEO発言内容である。
「モノラインが保証する証券などの価値が下がることで業界は悪影響を受
けており、我々も危機を乗り切ることが必要である。しかし、その中でMBIAは非常に有利な立場にあると確信している。正直なところ、市場は過剰に反応しすぎているというのが我々の印象だ。また、その様な不安が同社の株価を1年で約80%下げた要因となっているだろう」
Dアムバック(ABK)に強材料
★シティグループがアムバック(ABK)の目標価格を7ドルから12ドルに引き上げた。アムバックが111億ドルにのぼる巨額な税前損失を計上したこと、及び、現在の株価が、見込損失を控除した一株当たり純資産価値(56$)の20%レベルに落ち込んでいる事実は、更に悪化する事態をも織り込んでいると言える。
★投信大手のパトナム・インベストメントが、直近アムバックの持ち株比率を6.6%に高めた。昨年9月30日現在で、パトナムは、同2.48%保有していた(当時1位はフィデリティーの9.99%で、パトナムは15位の大株主だった)。
6.買収案件や、企業分離・独立の動きが続出中。
特に、破綻が懸念されていた住宅金融最大手のカントリーワイド・フィナンシャルがバンカメに買収されたり、仏銀首位のBNPパリバが、第2位のソシエテ・ジェネラル買収を検討中とのニュースは朗報と言える。金融業界以外にも、先週だけで以下の案件が指摘できる。
@マイクロソフト(MSFT)
マイクロソフトは1日、ヤフーに446億ドルで買収を提案したと発表した。
更に敵対的買収に発展する可能性もある。
Aモトローラ(MOT)
携帯電話端末で米最大手のモトローラは、携帯電話部門の分離を検討する方針を明らかにした。
Bアルミ関連株
アルミ大手アルコアと中国最大のアルミニウムメーカー、チャイナルコが、豪鉱山会社BHPビリトンによる英豪系リオ・ティント買収の阻止を狙い、リオの株式を取得した。
CCMEグループ(CME)
世界最大の先物取引所、CMEグループは28日、NYMEXホールディングスの買収に向けて予備交渉に入った。
Dアルトリア・グループ(MO)
海外たばこ部門をフィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)として、3月28日にスピンオフ(分離・独立)すると発表した。
=以上=
2008年01月30日
【緊急レポート】=金を初めとする商品は引き続き買われよう=
【緊急レポート】=金を初めとする商品は引き続き買われよう=
1月29日
森 崇
1月23日発した当面の底打ち宣言以降、米国株は順調に上昇に転じている。以下のポイントを背景として指摘したい。
1.0.75%緊急利下げに加え、30日にはFOMCにて更に0.50%の追加利下げが予想されており、この大幅利下げはとりわけ金融株にポジティブである。サンフォード・バーシュティン等は、今回の矢継ぎ早の利下げを背景に、複数の金融株の投資判断を引き上げている。実際金融株の多くは、ここ6営業日中5営業日株価が上昇している。急落が続いていた住宅建設関連株もしかり。
本日、パトナム・インベストメンツのインベストメンツ・ヘッド、ケビン・クロニン氏が、「金融株の最悪期は終わった感があると」とコメントしている。
2.ニューヨーク州エリック・ディナロ保険局長は、現在取りまとめ中の150億ドル規模の救済策は、モノラインがAAAの格付けを失う前に完了したい旨表明。また、米議会が検討している1500億ドル規模の景気刺激策も、その効果は不問に付すこととして、スピーディーに出て来た。
とにかく、リセッション入りを阻止する為、総動員で対処する政府、当局の姿勢が株式市場に安心感をもたらしている。
更に、スイスの銀行UBSが28日発表したリポー トによると、先週の米国株は昨年10月以来で初めて買い越しとなったようだ。先週は16億3000万ドル(約1740億円)の純流入だったもよう。週間ベースでの純流入は15週間ぶりで、外国人投資家が主に寄与したそうだ。
ハーバード大学のマーティン・フェルドシュタイン教授は、米経済が今年リセッション入りした場合、金融市場の動揺を背景に、最近のリセッションより落ち込みが深くなる恐れがあるとの見方を示している。金融分野の脆弱さが背景。同教授はFOMCが29、30日の会合で0.5ポイントの追加利下げを決めるべきだとの考えを示した。また、状況に応じて更に利下げを継続する必要性も指摘した。
FRBはまさにこのスタンスに則って利下げを敢行している。とにかくリセッション入りは阻止したい、行き過ぎた利下げは後で修正すれば良いと言うわけだ。
ダウ指数も、6営業日中、5営業日で株式が上昇している。
(ダウ指数6ヶ月間チャート)

次は、モノライン救済策がスピーディーに運ぶかどうか、景気刺激策の実効性等がチェックされるフェーズに入ると思われる。これが疑問視され、株が再度下落する過程で、ヘッジファンドや、ヨーロッパの金融機関で、損失発生の悪材料が出るかもしれない。
その際、ECBは利下げに傾くことが予想されるし、FRBの利下げも当面継続しよう。これがドル、ユーロ安を招来するとともに、究極の通貨である金が引き続き買われるだろう。いや、金に限らず、ドル建てで取引されている、穀物、原油等にも資金流入が続くだろう。
(金のETF“GLD”の6ヶ月間チャート)
1月29日
森 崇
1月23日発した当面の底打ち宣言以降、米国株は順調に上昇に転じている。以下のポイントを背景として指摘したい。
1.0.75%緊急利下げに加え、30日にはFOMCにて更に0.50%の追加利下げが予想されており、この大幅利下げはとりわけ金融株にポジティブである。サンフォード・バーシュティン等は、今回の矢継ぎ早の利下げを背景に、複数の金融株の投資判断を引き上げている。実際金融株の多くは、ここ6営業日中5営業日株価が上昇している。急落が続いていた住宅建設関連株もしかり。
本日、パトナム・インベストメンツのインベストメンツ・ヘッド、ケビン・クロニン氏が、「金融株の最悪期は終わった感があると」とコメントしている。
2.ニューヨーク州エリック・ディナロ保険局長は、現在取りまとめ中の150億ドル規模の救済策は、モノラインがAAAの格付けを失う前に完了したい旨表明。また、米議会が検討している1500億ドル規模の景気刺激策も、その効果は不問に付すこととして、スピーディーに出て来た。
とにかく、リセッション入りを阻止する為、総動員で対処する政府、当局の姿勢が株式市場に安心感をもたらしている。
更に、スイスの銀行UBSが28日発表したリポー トによると、先週の米国株は昨年10月以来で初めて買い越しとなったようだ。先週は16億3000万ドル(約1740億円)の純流入だったもよう。週間ベースでの純流入は15週間ぶりで、外国人投資家が主に寄与したそうだ。
ハーバード大学のマーティン・フェルドシュタイン教授は、米経済が今年リセッション入りした場合、金融市場の動揺を背景に、最近のリセッションより落ち込みが深くなる恐れがあるとの見方を示している。金融分野の脆弱さが背景。同教授はFOMCが29、30日の会合で0.5ポイントの追加利下げを決めるべきだとの考えを示した。また、状況に応じて更に利下げを継続する必要性も指摘した。
FRBはまさにこのスタンスに則って利下げを敢行している。とにかくリセッション入りは阻止したい、行き過ぎた利下げは後で修正すれば良いと言うわけだ。
ダウ指数も、6営業日中、5営業日で株式が上昇している。
(ダウ指数6ヶ月間チャート)

次は、モノライン救済策がスピーディーに運ぶかどうか、景気刺激策の実効性等がチェックされるフェーズに入ると思われる。これが疑問視され、株が再度下落する過程で、ヘッジファンドや、ヨーロッパの金融機関で、損失発生の悪材料が出るかもしれない。
その際、ECBは利下げに傾くことが予想されるし、FRBの利下げも当面継続しよう。これがドル、ユーロ安を招来するとともに、究極の通貨である金が引き続き買われるだろう。いや、金に限らず、ドル建てで取引されている、穀物、原油等にも資金流入が続くだろう。
(金のETF“GLD”の6ヶ月間チャート)
2008年01月24日
【緊急レポート】米国株の値幅整理はほぼ終了か
【緊急レポート】米国株の値幅整理はほぼ終了か
1月23日
森 崇
(今回の世界同時株安の元凶はモノライン格下げ)
直近の世界同時株安を招来した直接のきっかけは、金融保証会社(モノライン)の格下げである。
米格付け会社フィッチ・レーティングスが18日、金融保証会社(モノライン)大手アムバック・ファイナンシャル・グループの保険部門であるアムバック・アシュアランスの保険会社財務格付け(IFS格付け)を「AA」とし、最高格付けの「AAA」から2段階引き下げた。
モノラインが格下げになると、地方債から銀行株に至るまで幅広い資産に悪影響をもたらす。アムバック(ABK)、MBIA(MBI)、ファイナンシャル・ギャランティー・インシュアランス、セキュリティー・キャピタル・アシュアランス(SCA)など債券保証会社は、住宅ローン絡みの債券や地方自治体が発行する免税債の支払いも保証している。ただでさえ、景気悪化による税収減から、ほっておいてもこうした地方債の格付けは低下する運命にあるのに、保証機関本体までが格下げされてしまったら、ダブルパンチだ。おまけにこの地方債市場の規模は大きいから始末が悪い。
地方自治体が発行する免税債(ミュニシパル・ボンド)は、発行体が、発行時に格付け機関に格付けを付与してもらうと同時に、金融保証会社に保証してもらうケースが一般的だ。ただし、問題は、金融保証会社が格下げされた場合、それら
保証会社の保証する免税債も、保証の確度が低下する為、理論的には価値が低下する。しかし、これら免税債は、発行体が格付け機関に料金を支払い、格付けし直しを要請しない限り、新格付けが判明せず、当然の帰結として価値評価も不透明となる。ただ漫然と価値が低下したとしか認識されない。困るのはこれら債券
を運用している投資顧問会社等である。資産価値減少を防ぐ為に、現物を売却するか、債券先物を売ってヘッジするしかないのである。実際、アムバック格下げの報を受け、大手投資顧問会社Franklin Resources(BEN)やEaton Vance(EV)の株価が急落している。
更に、米国のモノラインは、多くのヨーロッパ主要企業の社債の保証もしている
為、格下げにより、欧州主要企業社債が急落した。21日のクレジット・デフォル
トスワップ(CDS)市場では、欧州の社債保有リスクが過去最大となった。
ここに、ドイツの大手州立銀行ウエストLBの大幅赤字決算見通しが投資家の不安心理を増幅し、ヨーロッパ株は2001年9月の同時多発テロ以来の急落となった。
この負の連鎖が世界中を駆け巡り、今回の世界同時株安を招いたのだ。
従って、株式相場反騰の為には、モノライン救済が必須条件であった。
緊急利下げでも、リセッション回避は困難との見方が依然強かった。利下げの行
われた22日(火)の株式市場の反応を見てもしかり。米国株は前日比大幅マイナ
スで引けた。FOMCの緊急大幅利下げは、金融政策が後手に回っていることを示し
ていると受け止められたからだ。米国がリセッション入りすることを見越し、実
勢金利は既に急低下していた。実際、FFレート先物は、1月30日FOMC時での更
なる0.5%利下げ確率を100%織り込んでいる。
(そして遂にモノライン救済への動きが現れた)
23日午後、ニューヨーク州当局者と米銀が金融保証会社(モノライン)向けの資本増強をめぐり協議をしたとのニュースが流れた。これがきっかけでモノライン大手アムバック(ABK)、MBIA(MBI)等の株価が急騰するとともに、米国株全体が急反発した。アムバック株は一日で何と70%の上昇を遂げた。いよいよ信用収縮防止に向けた効果ある政策が出始めた。
最近、米国のメディアはこぞって日本の失われた10年を取り上げている。日本が不動産、株バブルの崩壊からデフレに陥った経緯を説明し、米国が同じ鉄を踏まない為の処方箋が紹介されている。処方箋とは、できるだけ速やかに金融機関の損失額を確定するとともに、公的資金注入も含め、政府が救済しなければ駄目だと言う論旨である。脱兎のような速さこそが勝負だと言うのだ。
今日のモノライン救済への動きについては、具体的内容は不明だが、信用収縮防止に向けての動きがスピーディーに出始めたと言う点で評価できる。実効性ある政策を迅速に実行することが命だからである。折しも、米国株は高値から20%程度の調整を終了している。これは、直近では98年のロシア危機、LTCM崩壊時以来である。米国株の値幅整理はほぼ終了したのではないか。底打ち宣言は時期尚早かもしれないが、株式市場には半年ほどの先行性がある。ましてや、これからも利下げが継続するとともに、景気対策も取られる。言ってみれば“株高政策敢行”の最中なのだ。勿論、今回の救済への動きが実を結ばず、再度売られる局面も想定できるが、その時は、市場が対策練り直しを催促することになる。いずれにしても、今回の底は、2点底、3点底形成の為の礎石になりうると見る。
1月23日
森 崇
(今回の世界同時株安の元凶はモノライン格下げ)
直近の世界同時株安を招来した直接のきっかけは、金融保証会社(モノライン)の格下げである。
米格付け会社フィッチ・レーティングスが18日、金融保証会社(モノライン)大手アムバック・ファイナンシャル・グループの保険部門であるアムバック・アシュアランスの保険会社財務格付け(IFS格付け)を「AA」とし、最高格付けの「AAA」から2段階引き下げた。
モノラインが格下げになると、地方債から銀行株に至るまで幅広い資産に悪影響をもたらす。アムバック(ABK)、MBIA(MBI)、ファイナンシャル・ギャランティー・インシュアランス、セキュリティー・キャピタル・アシュアランス(SCA)など債券保証会社は、住宅ローン絡みの債券や地方自治体が発行する免税債の支払いも保証している。ただでさえ、景気悪化による税収減から、ほっておいてもこうした地方債の格付けは低下する運命にあるのに、保証機関本体までが格下げされてしまったら、ダブルパンチだ。おまけにこの地方債市場の規模は大きいから始末が悪い。
地方自治体が発行する免税債(ミュニシパル・ボンド)は、発行体が、発行時に格付け機関に格付けを付与してもらうと同時に、金融保証会社に保証してもらうケースが一般的だ。ただし、問題は、金融保証会社が格下げされた場合、それら
保証会社の保証する免税債も、保証の確度が低下する為、理論的には価値が低下する。しかし、これら免税債は、発行体が格付け機関に料金を支払い、格付けし直しを要請しない限り、新格付けが判明せず、当然の帰結として価値評価も不透明となる。ただ漫然と価値が低下したとしか認識されない。困るのはこれら債券
を運用している投資顧問会社等である。資産価値減少を防ぐ為に、現物を売却するか、債券先物を売ってヘッジするしかないのである。実際、アムバック格下げの報を受け、大手投資顧問会社Franklin Resources(BEN)やEaton Vance(EV)の株価が急落している。
更に、米国のモノラインは、多くのヨーロッパ主要企業の社債の保証もしている
為、格下げにより、欧州主要企業社債が急落した。21日のクレジット・デフォル
トスワップ(CDS)市場では、欧州の社債保有リスクが過去最大となった。
ここに、ドイツの大手州立銀行ウエストLBの大幅赤字決算見通しが投資家の不安心理を増幅し、ヨーロッパ株は2001年9月の同時多発テロ以来の急落となった。
この負の連鎖が世界中を駆け巡り、今回の世界同時株安を招いたのだ。
従って、株式相場反騰の為には、モノライン救済が必須条件であった。
緊急利下げでも、リセッション回避は困難との見方が依然強かった。利下げの行
われた22日(火)の株式市場の反応を見てもしかり。米国株は前日比大幅マイナ
スで引けた。FOMCの緊急大幅利下げは、金融政策が後手に回っていることを示し
ていると受け止められたからだ。米国がリセッション入りすることを見越し、実
勢金利は既に急低下していた。実際、FFレート先物は、1月30日FOMC時での更
なる0.5%利下げ確率を100%織り込んでいる。
(そして遂にモノライン救済への動きが現れた)
23日午後、ニューヨーク州当局者と米銀が金融保証会社(モノライン)向けの資本増強をめぐり協議をしたとのニュースが流れた。これがきっかけでモノライン大手アムバック(ABK)、MBIA(MBI)等の株価が急騰するとともに、米国株全体が急反発した。アムバック株は一日で何と70%の上昇を遂げた。いよいよ信用収縮防止に向けた効果ある政策が出始めた。
最近、米国のメディアはこぞって日本の失われた10年を取り上げている。日本が不動産、株バブルの崩壊からデフレに陥った経緯を説明し、米国が同じ鉄を踏まない為の処方箋が紹介されている。処方箋とは、できるだけ速やかに金融機関の損失額を確定するとともに、公的資金注入も含め、政府が救済しなければ駄目だと言う論旨である。脱兎のような速さこそが勝負だと言うのだ。
今日のモノライン救済への動きについては、具体的内容は不明だが、信用収縮防止に向けての動きがスピーディーに出始めたと言う点で評価できる。実効性ある政策を迅速に実行することが命だからである。折しも、米国株は高値から20%程度の調整を終了している。これは、直近では98年のロシア危機、LTCM崩壊時以来である。米国株の値幅整理はほぼ終了したのではないか。底打ち宣言は時期尚早かもしれないが、株式市場には半年ほどの先行性がある。ましてや、これからも利下げが継続するとともに、景気対策も取られる。言ってみれば“株高政策敢行”の最中なのだ。勿論、今回の救済への動きが実を結ばず、再度売られる局面も想定できるが、その時は、市場が対策練り直しを催促することになる。いずれにしても、今回の底は、2点底、3点底形成の為の礎石になりうると見る。
金融保証会社(モノライン)救済の動きは大きい
金融保証会社(モノライン)救済の動きは大きい
=米国株の値幅調整ほぼ終了=
1月23日
森 崇
1.日本の例を参考に、クイック・アクションが好感された
NY州当局者と米銀が金融保証会社(モノライン)向けの資本増強をめぐり協議をしたとのニュースから、モノライン大手アムバック(ABK)、MBIA(MBI)等を中心に引けにかけ急騰。以下のアムバックのチャートが示す通り、一日で70%の上昇を遂げた。
昨日も指摘した通り、債券保証会社(モノライン)救済策は非常に重要である。
モノラインが格下げになると、地方債から銀行株に至るまで幅広い市場に悪影響をもたらす。アムバック(ABK)、MBIA(MBI)、ファイナンシャル・ギャランティー・インシュアランス、セキュリティー・キャピタル・アシュアランス(SCA)など債券保証会社は、住宅ローン絡みの債券や地方自治体が発行する免税債の支払いも保証している。ただでさえ、今後の景気悪化で、税収減から、ほっておいてもこうした地方債の格付けは低下する運命にあるのに、保証機関本体までが格下げされてしまったら、ダブルパンチだ。おまけにこの地方債市場の規模は大きい。
地方自治体が発行する免税債(ミュニシパル・ボンド)は、発行体が、発行時に格付け機関に格付けを付与してもらうと同時に、金融保証会社に保証してもらうケースが一般的だ。ただし、問題は、金融保証会社が格下げされた場合、それら保証会社の保証する免税債も、保証の確度が低下する為、理論的には価値が低下する。しかし、これら免税債は、発行体が格付け機関に料金を支払い、格付けし直しを要請しない限り、新格付けが判明せず、当然の帰結として価値評価も不透明となる。ただ漫然と価値が低下したとしか認識されない。困るのはこれら債券を運用している投資顧問会社等である。資産価値減少を防ぐ為に、売却するしかないのである。従って、この市場を救う為にも、モノライン救済は必須になろう。株式相場反騰の為には、このような信用収縮防止に向けた具体的内容が盛り込まれる必要がある。
2.過剰流動性は株に向かわざるを得ない
来週にも見込まれる0.5%利下げは、インパクトになる。過剰流動性は、やはり株に向かわざるを得ない。ダウ指数、ナスダック指数、S&P500指数はほぼ20%調整を達成。
3.見通しが下方修正されたこともあり、本日主要企業の業績は予想を上回った。
本日発表になった主要企業の業績は予想を上回った。
コーチ(COH)、ファイザー(PFE)、アボット・ラボラトリーズ(ABT)、
ユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)、デルタ航空(DAL)、コノコ・フィリップス(COP)
結論
株は早く動く。今日のモノライン救済策の動きで十分である。市場は正常に向け軌道修正しつつあり、この動きにつくべき。引け後、グーグル(GOOG)はじめハイテク株も続伸商状となっている。
ADM、MONはじめ穀物関連、薬品、金鉱株等はここもとかなりの買いが入っており、
今後のアウトパフォームが見込める。
=米国株の値幅調整ほぼ終了=
1月23日
森 崇
1.日本の例を参考に、クイック・アクションが好感された
NY州当局者と米銀が金融保証会社(モノライン)向けの資本増強をめぐり協議をしたとのニュースから、モノライン大手アムバック(ABK)、MBIA(MBI)等を中心に引けにかけ急騰。以下のアムバックのチャートが示す通り、一日で70%の上昇を遂げた。
昨日も指摘した通り、債券保証会社(モノライン)救済策は非常に重要である。
モノラインが格下げになると、地方債から銀行株に至るまで幅広い市場に悪影響をもたらす。アムバック(ABK)、MBIA(MBI)、ファイナンシャル・ギャランティー・インシュアランス、セキュリティー・キャピタル・アシュアランス(SCA)など債券保証会社は、住宅ローン絡みの債券や地方自治体が発行する免税債の支払いも保証している。ただでさえ、今後の景気悪化で、税収減から、ほっておいてもこうした地方債の格付けは低下する運命にあるのに、保証機関本体までが格下げされてしまったら、ダブルパンチだ。おまけにこの地方債市場の規模は大きい。
地方自治体が発行する免税債(ミュニシパル・ボンド)は、発行体が、発行時に格付け機関に格付けを付与してもらうと同時に、金融保証会社に保証してもらうケースが一般的だ。ただし、問題は、金融保証会社が格下げされた場合、それら保証会社の保証する免税債も、保証の確度が低下する為、理論的には価値が低下する。しかし、これら免税債は、発行体が格付け機関に料金を支払い、格付けし直しを要請しない限り、新格付けが判明せず、当然の帰結として価値評価も不透明となる。ただ漫然と価値が低下したとしか認識されない。困るのはこれら債券を運用している投資顧問会社等である。資産価値減少を防ぐ為に、売却するしかないのである。従って、この市場を救う為にも、モノライン救済は必須になろう。株式相場反騰の為には、このような信用収縮防止に向けた具体的内容が盛り込まれる必要がある。
2.過剰流動性は株に向かわざるを得ない
来週にも見込まれる0.5%利下げは、インパクトになる。過剰流動性は、やはり株に向かわざるを得ない。ダウ指数、ナスダック指数、S&P500指数はほぼ20%調整を達成。
3.見通しが下方修正されたこともあり、本日主要企業の業績は予想を上回った。
本日発表になった主要企業の業績は予想を上回った。
コーチ(COH)、ファイザー(PFE)、アボット・ラボラトリーズ(ABT)、
ユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)、デルタ航空(DAL)、コノコ・フィリップス(COP)
結論
株は早く動く。今日のモノライン救済策の動きで十分である。市場は正常に向け軌道修正しつつあり、この動きにつくべき。引け後、グーグル(GOOG)はじめハイテク株も続伸商状となっている。
ADM、MONはじめ穀物関連、薬品、金鉱株等はここもとかなりの買いが入っており、
今後のアウトパフォームが見込める。
2008年01月23日
株式市場再騰の条件
株式市場再騰の条件
=増補版=
1月22日
森 崇
緊急利下げでも、リセッション回避は困難との見方が依然強かった。株式市場の
反応を見てもしかり。FOMCの緊急利下げは、金融政策がやや後手に回っているこ
とを示している。FFレート先物は、1月30日FOMC時での更なる0.5%利下げ確
率を70%以上織り込んでいる。ただし、ECB(利下げが近付いたが、まだ差し迫
ってはいない)も利下げに傾く可能性が出て来た。
利回り曲線を見ても、実勢金利はかなり低下しており(赤線が本日の水準)、FFレートの更なる引き下げ余地が残されている。

最大のポイントは住宅問題
最大の問題点は住宅市場にある。これは、利下げ継続で住宅需要者の購買を促す(販売業者の値下げ+利下げに連動して、住宅ローン金利が低下するから)ことで、ある程度は効果を発揮するだろうが、住宅市場は大量の在庫を抱えている。今年も変動金利型ローンの金利見直し(リセット)を多く控えている。
何よりも、住宅ローン債権をベースにした証券化商品類への不信感が強く、投資家のリスク許容度を再び高めるのは容易ではない。また、金融機関は財務内容が悪化しており、貸し渋りや、貸し剥がしが増え、信用市場の回復には困難を伴う。
住宅問題については、いくらFRBでも限界がある。
待たれる次の一手
ブッシュ大統領は18日、実質国内総生産(GDP)の1%もしくは最大1500億ドル規模の景気刺激策を発表。ポールソン財務長官によると、同策には低・中間所得者層への税還付や企業の減税が含まれていると言う。
また、景気刺激策については、「早急に策定する必要がある。そして即効性を持たせる必要がある。この機会を逃せば、失敗に終わる。また、米住宅市場は顕著な調整を経験しており、景気拡大は、ここ数週間、明確に鈍化している。住宅セクターでは、一段の政策が必要で、より広範な景気の短期的押し上げと同じくらい急を要する」と語っている。次にはここからどんな政策が出てくるかが重要だ。
具体的には、債券保証会社(モノライン)救済策、CDO等の買取り機関設置等が出てくれば市場は好感するだろう。とりわけモノラインは非常に重要である。
モノラインが格下げになると、地方債から銀行株に至るまで幅広い市場に悪影響をもたらす。アムバック(ABK)、MBIA(MBI)、ファイナンシャル・ギャランティー・インシュアランス、セキュリティー・キャピタル・アシュアランス(SCA)など債券保証会社は、住宅ローン絡みの債券や地方自治体が発行する免税債の支払いも保証している。ただでさえ、今後の景気悪化で、税収減から、ほっておいてもこうした地方債の格付けは低下する運命にあるのに、保証機関本体までが格下げされてしまったら、ダブルパンチだ。おまけにこの地方債市場の規模は大きい。
地方自治体が発行する免税債(ミュニシパル・ボンド)は、発行体が、発行時に格付け機関に格付けを付与してもらうと同時に、金融保証会社に保証してもらうケースが一般的だ。ただし、問題は、金融保証会社が格下げされた場合、それら
保証会社の保証する免税債も、保証の確度が低下する為、理論的には価値が低下する。しかし、これら免税債は、発行体が格付け機関に料金を支払い、格付けし直しを要請しない限り、新格付けが判明せず、当然の帰結として価値評価も不透明となる。ただ漫然と価値が低下したとしか認識されない。困るのはこれら債券
を運用している投資顧問会社等である。資産価値減少を防ぐ為に、売却するしかないのである。従って、この市場を救う為にも、モノライン救済は必須になろう。
株式相場反騰の為には、このような信用収縮防止に向けた具体的内容が盛り込まれる必要がある。
損失額が明確化した段階で、大幅に財務内容が悪化した金融機関への公的資金注入まで予想するが、これにはまだ時間がかかろう。
=以上=
=増補版=
1月22日
森 崇
緊急利下げでも、リセッション回避は困難との見方が依然強かった。株式市場の
反応を見てもしかり。FOMCの緊急利下げは、金融政策がやや後手に回っているこ
とを示している。FFレート先物は、1月30日FOMC時での更なる0.5%利下げ確
率を70%以上織り込んでいる。ただし、ECB(利下げが近付いたが、まだ差し迫
ってはいない)も利下げに傾く可能性が出て来た。
利回り曲線を見ても、実勢金利はかなり低下しており(赤線が本日の水準)、FFレートの更なる引き下げ余地が残されている。

最大のポイントは住宅問題
最大の問題点は住宅市場にある。これは、利下げ継続で住宅需要者の購買を促す(販売業者の値下げ+利下げに連動して、住宅ローン金利が低下するから)ことで、ある程度は効果を発揮するだろうが、住宅市場は大量の在庫を抱えている。今年も変動金利型ローンの金利見直し(リセット)を多く控えている。
何よりも、住宅ローン債権をベースにした証券化商品類への不信感が強く、投資家のリスク許容度を再び高めるのは容易ではない。また、金融機関は財務内容が悪化しており、貸し渋りや、貸し剥がしが増え、信用市場の回復には困難を伴う。
住宅問題については、いくらFRBでも限界がある。
待たれる次の一手
ブッシュ大統領は18日、実質国内総生産(GDP)の1%もしくは最大1500億ドル規模の景気刺激策を発表。ポールソン財務長官によると、同策には低・中間所得者層への税還付や企業の減税が含まれていると言う。
また、景気刺激策については、「早急に策定する必要がある。そして即効性を持たせる必要がある。この機会を逃せば、失敗に終わる。また、米住宅市場は顕著な調整を経験しており、景気拡大は、ここ数週間、明確に鈍化している。住宅セクターでは、一段の政策が必要で、より広範な景気の短期的押し上げと同じくらい急を要する」と語っている。次にはここからどんな政策が出てくるかが重要だ。
具体的には、債券保証会社(モノライン)救済策、CDO等の買取り機関設置等が出てくれば市場は好感するだろう。とりわけモノラインは非常に重要である。
モノラインが格下げになると、地方債から銀行株に至るまで幅広い市場に悪影響をもたらす。アムバック(ABK)、MBIA(MBI)、ファイナンシャル・ギャランティー・インシュアランス、セキュリティー・キャピタル・アシュアランス(SCA)など債券保証会社は、住宅ローン絡みの債券や地方自治体が発行する免税債の支払いも保証している。ただでさえ、今後の景気悪化で、税収減から、ほっておいてもこうした地方債の格付けは低下する運命にあるのに、保証機関本体までが格下げされてしまったら、ダブルパンチだ。おまけにこの地方債市場の規模は大きい。
地方自治体が発行する免税債(ミュニシパル・ボンド)は、発行体が、発行時に格付け機関に格付けを付与してもらうと同時に、金融保証会社に保証してもらうケースが一般的だ。ただし、問題は、金融保証会社が格下げされた場合、それら
保証会社の保証する免税債も、保証の確度が低下する為、理論的には価値が低下する。しかし、これら免税債は、発行体が格付け機関に料金を支払い、格付けし直しを要請しない限り、新格付けが判明せず、当然の帰結として価値評価も不透明となる。ただ漫然と価値が低下したとしか認識されない。困るのはこれら債券
を運用している投資顧問会社等である。資産価値減少を防ぐ為に、売却するしかないのである。従って、この市場を救う為にも、モノライン救済は必須になろう。
株式相場反騰の為には、このような信用収縮防止に向けた具体的内容が盛り込まれる必要がある。
損失額が明確化した段階で、大幅に財務内容が悪化した金融機関への公的資金注入まで予想するが、これにはまだ時間がかかろう。
=以上=


